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観光省が6億円をパラナに=連邦政府の百周年支援が具体化=西森州議「こんなこと初めて」=来年度分に同額を申請

ニッケイ新聞 2007年12月6日付け

 「IMIN100」パラナ州百年祭実行委員会(嶋田巧実行委員長)の目玉事業であるローランジャ市に建設予定のテーマパーク「夢」プロジェクトに対し、ブラジル観光省から一千万レアル(約六億円)が支出されることが三日に省内で正式に確認された。今後、来年二月から建設業者を選ぶ入札を行い、皇太子殿下のご臨席をえて、六月の式典で定礎式を挙行したいと期待している。日伯交流年開始まであと一カ月を切り、ブラジル政府はパラナ州の百周年に対して支援を具体化させはじめた。
 連邦政府レベルへの働きかけに尽力した一人、パラナ日伯文化連合会(リーガ・アリアンサ)の会長である西森ルイス州議(百年祭式典委員長)は「これで確実に資金は確保された」と喜ぶ。
 昨年十二月、パラナ州選出連邦下議グループを通して、連邦政府に一千万レアルの予算請求(emenda)を通した。これにより予算には計上されたが、実際に支出されるかは、予算確認(empenho)されるかどうかにかかっていた。三日にこの確認が行われ、正式に支出されることに決まった。
 西森会長は「大きな予算なので通常は二、三年かかる。早く決まって良かった」と胸をなで下ろす。
 今後の日程としては、来年二月ごろから建設業者を選ぶ入札が九十日間かけて行われる。「六月には皇太子殿下をお迎えして定礎式が行えればありがたい」と西森氏は期待する。
 この予算は、観光省が地方部の観光資源開発に充てるもので、実際にはローランジャ市に対して支払われる。リーガ・アリアンサが土地を市に提供し、代わりにテーマパーク「夢」の運営権を市から九十九年間貸与される形をとる。
 西森氏は二週間前にブラジリアに同州選出連邦議員グループ(約三十人)を訪ね、来年度分としてパラナ州各地の百周年記念事業に対して、さらに一千万レアルを予算申請することで合意を得たことを明かした。
 同じ時に観光省関係部局をまわり、すでに申請しているロンドリーナの中川トミ広場への百五十万レアル、アサイの城建設構想への五十万レアルについても早期に予算確認してもらえるように要請したという。
 一年越しの水面下での連邦政府への働きかけが功を奏したとはいえ、西森会長は「こんなに政府予算がでるのは、今までの歴史ではないこと」と驚きを隠せない様子。
 今年九月にマルタ・スプリシー観光大臣が訪日したおり、皇太子殿下を訪ね、ルーラ大統領からの百周年への招待状を渡し、「ぜひ皇室からのご来伯を、できればご自身で」との気持ちを伝えた。翌十月には宮内庁から、来年六月に皇太子殿下がご来伯されることが公表された。
 今回の予算確認によりブラジル政府側から、皇太子殿下を迎える目玉事業の一つとして公認された形だ。
 観光省では百周年を機に、日本からの観光客誘致増を期待している。現在、年間七万四千六百人が来伯しているが、同省の予測では来年は十万人近くが訪れると見込んでいる。日本人観光客は平均十三日間滞在し、一日あたり二百ドルを落とす上客だという。
 北パラナ観光開発を刺激したい観光省のおもわくと、同地の百周年実行委員会の記念構想が幸運にも合致したようだ。官民が一体となって百周年を祝う体制が、パラナ州では具体化されてきた。