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通貨委員会=基本金利は再度据え置き=潜在インフレを懸念=国内の需要過熱と景気回復で=国外は原油と食糧インフレ

ニッケイ新聞 2007年12月7日付け

 中央銀行の通貨委員会(Copom)は五日、基本金利(Selic)一一・二五%を再度据え置くことを決定したと六日付けエスタード紙が報じた。Copom議事録は来月への見通しに一切触れず、余裕を持たせるための一休止という表現も削除した。市場関係者は、金利の引き下げが当分ないという見方をしている。ブラジル地理統計院(IBGE)が五日、発表した需要の過熱とインフレ懸念も影響したと見られる。
 CopomのSelic二カ月連続据え置きは、満場一致で決まった。議事録はマクロ政策の見直しと忍びよる潜在的インフレの懸念という表現で、中銀の態度の変化を市場関係者が感じた。これは、外的要因に備えた長期的な体制準備と見られる。
 一八カ月にわたった基本金利の続落は十月に止まった。原油の高騰やホルムス海峡の緊張など、世界的な情勢変化が、ここであったということらしい。一休止の表現削除は、長期的休止であり、しばらく楽観は許されないということ。
 最近のインフレ指数は、目標をやや上回っている。これは、Copomでも指摘された。原因には国内の景気回復もあるが、外的要因としてコモディテイがじわじわ押し上げている。異常気象による米国やオーストラリアの凶作が憂慮されているなどがある。
 五日のIBGE発表は、工業の稼働率が八二・八%であり、一月から十月までの経済成長率が五・九%という。これではインフレが、音をたててやってくるに違いない。二〇〇八年は、金利引き下げなどといっていられない。国内需要は、二〇〇八年も引き続き順調に伸びると関係者は見ている。
 中銀は二〇〇八年、迷うことなくインフレ抑圧の金利引上げに踏み切る。発展途上国の中央銀行は、どこもFRB(米連邦準備制度理事会)の通貨政策に従わない。ブラジルも、FRBと共に波乗りはしない。国内と国外のインフレは、性質が全く異なるからだ。
 ブラジルのインフレは、景気向上に伴う健康なもの。国外は、米FRBの流通量注入と異常気象による農産物不作懸念、中東混乱による原油高騰の病的インフレなのだ。

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