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リオで5度目の大型摘発=事前に情報もれ、成果上がらず

ニッケイ新聞 2007年12月7日付け

 十一月三〇日に大統領がリオ市のファヴェーラを訪問し、市内五カ所とニテロイ市一カ所のファヴェーラでの経済活性化計画(PAC)の実施を確認した(一日付伯字紙)が、その直後の五日、ファヴェーラでの麻薬密売組織の摘発が再び行われた。
 今回の対象は、市北部のコンプレクソ・ド・アレマン地区。装甲車八台を含む、軍警、市警合わせて七〇〇人規模での摘発だったが、軍警の遅れで五時からの摘発が九時からに。その上、今年五回目にあたる大型摘発は、事前に情報が漏れ、密売者たちは四日の内から対抗策を練っていた。
 まず、朝八時に密売者たちが盗んだバス二台を地区の入り口二カ所に配置。六日のフォーリャ紙によれば、高台に上る道には車での接近を妨げるために油も撒かれていたという。正午前、二台のバスのうち一台に火が放たれ、激しい煙とともに炎上。幸い、付近の民家への延焼はなかった。
 警官隊にとって計算違いだったのは、装甲車四台が故障して思うように機能しなかったこと。偵察は徒歩となり、装甲車の回収作業まで加わった。当局は、これが思うような結果を残せなかった原因だという。フォーリャ紙のまとめでは、銃弾や手榴弾が飛び交い、地区の主要道路が三時間に渡って封鎖された作業の結果は、犯罪者と思しき人物二人の逮捕他、四人が被弾、バス一台焼失、二五台のバイクを押収となっている(エスタード紙では逮捕者なし)。また、一二校約九〇〇〇人の子供たちが学校に行けなかった。
 今回は情報漏洩や装甲車の故障で成果の出なかった大型摘発だが、来年二月には米国製の装甲ヘリコプターも配置予定と六日付エスタード紙。十月のコレイア地区での摘発(既報)でヘリコプターの射撃手が死亡したこともあり、PACによる作業(道路の改修や住居の増設、衛生施設の整備など)と平行し、装甲ヘリ到着後の麻薬組織の摘発は激化する可能性がある。
 一日付エスタード紙では、PACの目的はファヴェーラの市街化で、国が六億七三〇〇万レアル、州が二億二四四〇レアルを投入すると報じている。今回の摘発対象となったコンプレクソ・ド・アレマンは、国と州とが総額四億九五一〇レアルをつぎ込む予定となっている。