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新乗り入れ制限上程=全車に毎日一時間半運行禁止=選挙前の市長には墓穴?

ニッケイ新聞 2007年12月8日付け

 サンパウロ市は交通渋滞による大気汚染が著しいことでサンパウロ市議会は六日、サンパウロ市内の車両乗り入れ制限令を拡大する条例を一次投票で可決したと七日付けエスタード紙が報道した。上程者は、テイシェイラ市議(PSDB=民主社会党)。月末の二次投票を経て市長が署名をしたら、正式決定となる。
 新条例の乗り入れ制限は月曜から金曜のラッシュ・アワー、全車両に対しサンパウロ市の全市街地に適用。奇数の車番は、午前七時から午前八時三十分まで運行禁止。偶数の車番は、午前八時三十一分から午前十時まで運行禁止。午後は奇数が、午後五時から午後六時三十分。偶数は午後六時三十一分から午後八時まで。
 奇数と偶数の順番は、奇数年と偶数年で交代する。奇数と偶数の車番で車を二台以上所有する人が、一五%以上いる。計算だけでは市内を走る車が、五百四十万台から三百万台に減る。要するにサンパウロ市という体は、血液の循環が停止していると思えばよい。
 CET(交通技術公社)の調査によれば、市街を走る車の三〇%は欠陥車で、排気ガスを垂れ流して走っている。百五十万台は、車検もない無登録車という。八月の交通渋滞は毎日、平均で百二十三キロに及んだ。一九九六年に制定した車両乗り入れ制限令が、オシャカになった勘定だ。
 サンパウロ市には毎日、八百台の新車が登場する。現行の乗り入れ制限令では二〇%の車を除去するが、中古車も含めて二台以上を所有する人が同数いるので、実質的に意味がない。
 一方、市長選挙で頭が一杯のカサビ市長は、車両乗り入れ新制限令など考える時間がないようだ。市長が新条例に署名したら、選挙では墓穴を掘る。しかし、サンパウロ市の交通渋滞には何か手を打つ必要がある。調査によれば、現行の一日制限を二日制限にしても、四一%が容認という。市長は、メキシコ・シティの車両乗り入れ制限令を検討中だ。