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国連環境会議で苦戦=ブラジルは作戦不足=羊頭狗肉の地球温暖化対策

ニッケイ新聞 2007年12月11日付け

 バリ島の国連環境会議は九日、先進国と途上国が環境製品の設定で合意に至らなかったと十日付けロイター通信が伝えた。会議に参加した三十二カ国代表は二日間にわたり詰めの会議を行ったが、単なる批判の応報で終わった。
 米国とEUは、補助金制度で裏打ちされた市場独占を視野に入れた先進国に有利な共同提案を発表した。米国とEUは、風力発電機や太陽光発電機などの自国に有利な環境製品四十三品目を優遇関税とすることで会議の主導権を握った。
 アモリン外相は欧米案がエタノールを除外し、片手落ちな環境製品リストを採択させようとしたので拒絶した。温暖化対策と銘打った国連の環境会議は、先進国のエゴ剥き出しで、同じ地球に同居する先進国と途上国にとって何ら成果のないものだと非難した。
 国連の環境会議が温暖化対策を掲げ、羊頭狗肉の集まりであることをアモリン外相は糾弾した。このような環境会議は、議論のための議論の場を設けるだけで予想したものと丸っきり異なる政治的駆け引きの国際会議だと警告した。
 環境部会を終えたブラジル代表団はBBC放送の取材に応えて、見掛け倒しの環境会議は戦略を練って臨むべきだと答えた。地球の温暖化対策だ環境対策だとかいっても、WTO(世界貿易機関)の利害激突の場と同じだという。
 環境会議の当初で意見の相違を生じさせたのは、酸素の供給源といわれる森林の大部分が、ブラジルやパプア、ニューギニア、コスタリカの途上国にあることだ。これら途上国に森林伐採を阻止させるなら、先進国がその代償を払うべきだとしたブラジル案を先進国は強引に議題から外した。
 ブラジル代表団は、酸素供給国とされる途上国連合の設立が急務であると悟った。これらの途上国は、代表さえ送っていない。国連環境会議とは、先進国のシナリオで進められるので、森林伐採システムを織り込んだ途上国連合の戦略がないと虚仮にされる。
 ブラジルは環境保護システムの設置には同意するが、途上国の立場を無視した先進国の勝手な考え方には憤りを感じるという。アモリン外相は直ちに、途上国の通産相に呼びかけ、森林伐採を削減するクレジット供与の制度設置を討議することにした。