ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 土俵際の小切手税延長案=対策尽きる上院工作=可決必要数49人に満たず=与党二上議の入院が痛手に

土俵際の小切手税延長案=対策尽きる上院工作=可決必要数49人に満たず=与党二上議の入院が痛手に

ニッケイ新聞 2007年12月12日付け

 暫定金融税(小切手税)二〇一一年までの延期案が上院での表決を十二日に控え、政府は必要数四十九票が集まらず十日、再度表決延期を申請することにしたと十一日付けエスタード紙が報じた。十二日は上院新議長の選出も行われ、議会対策に混乱が生じる。再々表決延期を繰り返したが、十三日が限度でこれを過ぎると政府の敗色が目立つと見られる。必要票数不足のところへ来て、与党のロゼアナ・サルネイ上議とアルンス上議が入院した。
 PT(労働者党)政権継続のための切り札でもある小切手税(CPMF)は、野党最後の牙城である上院で足止めをされた。小切手税は一九九六年、ジャテネ元保健相が税制改革を行うまでの暫定措置として医療費捻出のために設けた税金であった。しかし、税制改革はその後、一向に行われる気配はなく小切手税は延期々々で定着した。
 暫定措置として生まれた小切手税は、いつまでも私生児扱いで認知されることはなかった。同税延期の表決予定日十二日を控え、政府は残された僅かな時間で最後の追い込みに挑んでいる。野党造反の掘り出しと連立与党の中にも旗色を鮮明にしない五人がいる。
 ロゼアナ上議とアルンス上議の決選前夜での入院は、縁起が悪い。政府の政調委員長ジュカー上議は、十一日の本会議を質疑応答で時間を稼ぎ、表決に持ち込まないよう頼んだ。しかし、十三日も表決できなければ、二次投票が二十七日以後になり国会は休会で来年持ち越しとなる。
 ヴィアナ臨時上院議長(PT)は、再々の延期に喝を入れた。結論の出ない議論は、否定的印象を与える。結束できないのは、党内の歩調が乱れているのだ。一両日に決められないならば長時間をかけ、党内の団結が先決という。
 サンパウロ市クリニカ病院の小児科病棟増築式に臨んだセーラサンパウロ州知事や保健相代理のノローニャ次官、ジャテネ元保健相は、小切手税の延長案承認を支持する挨拶を行った。セーラ知事は、税収の配分を与野党了解のもとで行うなら、CPMFの延長はやぶさかではない。小切手税収の半分二百億レアルをサンパウロ州に交付するなら、延長承認に協力してもよいと色目を流した。