ニッケイ新聞 2007年12月12日付け
「陛下のご健康と皇室の弥栄を」―――。今月二十三日で七十四歳の誕生日をお迎えになる天皇陛下の祝賀会が十一日午前十時から文協貴賓室で、正午から在聖総領事公邸で盛大に行なわれた。ブラジル日本移民百周年を迎える来年六月、皇太子殿下がご来伯されることが決まっており、出席者らは百周年に向け、気持ちを新たにしていた。
文協貴賓室で行なわれた祝賀会は、文協、日伯援護協会、ブラジル日本都道府県人会連合会、日伯文化連盟、老人クラブ連合会の五団体が共催。
約百人が集まった会場では、文協合唱部が日伯両国家を斉唱、共催団体を代表して上原幸啓文協会長が、来年の皇太子来伯を「コロニアにとって嬉しい知らせだった」と話し、「立派な式典を行ないたい」と決意を新たにした。
続いて在サンパウロ総領事館の丸橋次郎首席領事が、今年十月に七十三歳の誕生日を迎えられた皇后さまに宮内庁記者会が行なった質問への文書回答のなかで百周年、コロニアのことが触れられていることを紹介、「皇室との繋がりを強く感じる」と話した。
出席者は貴賓室奥に展示されている天皇皇后両陛下の肖像画前に移動、松尾治県連会長の発声で万歳三唱、森口イナシオ援協会長が乾杯の音頭を取った。
岩崎秀雄元文協会長は、グラスを片手に「いよいよ百周年。(皇太子来伯は)コロニアにとって嬉しい限り。皆で力を合わせて体制を整えなければ」と話していた。
皇室の慶事には、必ずメッセージを送っているという下本八郎元州議は、「本当に嬉しいこと。何度も来伯されている陛下と日系人の関係は強いもの」と笑顔で語った。
▽ ▽
正午からはモルンビー区の在サンパウロ総領事公邸で、総領事主催の天皇誕生日祝賀会が行われ、日系団体、ブラジル社会の関係者など約三百四十人が訪れた。
日伯両国歌の斉唱後、西林万寿夫総領事は、麻生太郎外務大臣(当時)をはじめ多数の日本政府要人が来伯した一年を振り返り、「来年に迫った移民百周年という歴史的瞬間を迎えることを嬉しく思う」と挨拶。「日本とブラジルの交流がさらに盛んになることを願います」と結んだ。
来場者は食事を囲み、午後二時まで歓談。
三味線指導者の北原民江さんは「御誕生日を日本人として嬉しく思う。百周年には皇太子さまご夫婦で来て欲しい」と話した。
石川準二秋田県人会長は文協の祝賀会でも触れられた、皇后さまの宮内庁記者会への文書回答について、「日本にいるデカセギの人たちを温かい目で見てください」との言葉に涙が出たと感想を語った。
中島エドアルド文協事務局長は「来年は皇太子さまが来伯されるということで、日系社会としても万全の準備をしたい」と意気込みを話していた。