ニッケイ新聞 2007年12月13日付け
先週、ブラジル観光省がパラナ州百周年の目玉事業に対し、一千万レアル(約六億円)を支援する正式決定を下した。そのすぐ後、ロンドリーナ市百周年事業である中川トミ広場建設に対しても、百四十六万レアル(約九千二百万円)を出す確認をした。現時点までの合計が約七億円だ。周年事業が大きな転換期に入った印象を受ける▼今までは日本政府からの支援で、大きな周年事業をするのが習わしだった。七十周年に移民史料館、八十周年に日伯友好病院が建設された時もそうだった。八八年当時、援協幹部は十五億円も集めた。八億円は日本からの支援で残りはコロニアだ▼その一方、今週にJICAブラジル事務所は五百万円を百周年協会が主催する三事業に支援する交付式を行った。日本は世界第二位の経済大国であり、ブラジルは十一位程度の中進国にすぎない。その差を思えば、百周年に対する気持ちが二桁も違うことに愕然とする▼通常であれば、ブラジル政府と同額、もしくはそれ以上の支援があってもおかしくない。両国が応分に力を合わせて祝うからこそ、より有意義な年になるはず▼ブラジル政府は日系社会を観光資源ととらえて、その将来性に大きな投資を決定した。サンパウロ州政府もVIVA・JAPAOという世界に前例のない教育プロジェクトを行い、親日家を増やす手助けをしてくれている▼援協の福祉センター構想も含め、今後の日系社会に活かせる記念事業はある。移民百周年を記念した日伯交流年だからこそ、一方的な友好関係で終わらせたくない。ブラジル側に応じた日本政府の姿勢も、今こそ問われている。(深)