ニッケイ新聞 2007年12月14日付け
乗り込んできた乗客が強盗に早代わりというケースはよく聞くが、十一日から十二日にかけてリオで起きた強盗事件では、乗っ取られたバスが強盗団の乗合バスとして使われた。
十三日付けフォーリャ紙によれば、事件の発端は十一日二三時ごろ。スラム、モーロ・サン・ジョアン近くで一組の夫婦が路線バスに乗り込み、運転手を制圧。車内の乗客はその場で降車を命じられたが、十三日付けエスタード紙によれば、夫婦は身元が割れるのを防ぐため、録画用の機材を破壊したという。
犯人夫婦が制圧したバスには、モーロ・ダ・マトリス、ジャカレジーニョ、マンギーニョスの三スラムで約二〇人が乗り込んだ。途中で運転手を解放した犯人たちは、市内北部のペーニャ地区でバスを放棄し、運送会社四社が入っている倉庫に向かった。
倉庫内の四社中、狙われたのは二社。ハイ・テック社従業員らは、犯人の指示でトラックに商品を運び込まされた。ハイ・テック社では冷蔵庫やテレビなどの電化製品、おもちゃなど、約一一万レアル相当の被害。また、隣のフリブルゴ・チーメ・エクスプレスでは、クリスマス用食料品キットやコップ、皿などが盗まれ、二万レアル相当の被害を受けた。
従業員らによると、犯人たちは当初、個人の持ち物に手をつけようとはしなかったが、ハイ・テック社女性従業員の一人は、現金を要求され、ここにはないと答えたため、従業員の食事代が取り分けてあったのを見つけて腹を立てた犯人から、所持品を持っていかれたという。トラック二台に盗品を積んだ犯人たちは、二時半ごろ逃亡した。
警察によれば、犯人たちは換金し易い品がどこにあるかを周知していたといい、従業員か元従業員が絡んでいた可能性がある。また、犯人たちが乗り込んできたスラムはコマンド・ヴェルメーリョが支配しており、麻薬密売組織との関係も否定できない。
「仲間を集めるためにバスを使った事件は初めて聞いたし、バスを乗っ取ってから倉庫を襲ったというのも珍しい」とは、事件を扱った警官の話。六カ月前にも倉庫を狙った事件があったというが、クリスマスは、換金し易い物品を盗む事件は多発する。