ニッケイ新聞 2007年12月14日付け
北パラナのローランジア市に建設するパラナ百周年の目玉事業「夢テーマパーク」に対し、先週、ブラジル観光省から一千万レアル(約六億円)が支援されることが決まったばかりだが、個人レベルでも大口寄付が集まっている。当初はローランジアで開催する予定だった大型の展示会は、マリンガに変更になり、主要役員が率先して出展企業を探してサンパウロ市の日本進出企業にも依頼に出歩いている。パラナの方は、いよいよ準備に拍車がかかってきたようだ。
「先輩たちのおかげです」。十二日に来社したパラナ日伯文化連合会(リーガ・アリアンサ)の西森ルイス会長(パラナ州議)は寄付金集めの活動状況を讃える。「観光省の支援も決定し、記念事業の方は目処が立ってきた。これからは式典やイベントの準備により注力します」。
沼田信一さん、間島正典さん、平澤正人さんの三人が中心となって式典費用三百万レアルの集金活動を展開している。州内にいる二万五千の日系家族から、各家族平均で三百レアルを集めるのが目標だ。
三人は、二カ月近く前からに加盟する約七十団体を一カ所、一カ所まわって、地域の代表者に対し、一時間、二時間と協力を訴えながら話し込んだ。八十九歳の沼田さんは「八千キロは走った」という。
「三百レアルはきついと最初に言われるが、皇太子殿下が来られるんだから、できる限りの歓迎をしなくちゃって一時間、二時間話し込むと、終いには『そうだな、それぐらいせないかんな』と言ってくれる。本当にありがたい」と楽でなかった行脚を振り返る。
「大きな仕事をやっている人には別にお願いしている」という沼田さん。西森会長によれば、沼田さん自身が弟の政治さんと五万ずつで計十万レアル(約六百三十七万円)を寄付して模範を示している。加えて、上野アントニオさんと岡本ヴィセンテさんが一緒に十万レアルを寄付するという。
また、各地の日系団体代表が市長にかけあって、式典当日に無料バスをローランジャまで出してくれるように要請しており、当日に五万人動員するための周到な準備が進められている。 五十周年から十年ごとに毎回、大統領の出席をえて挙行してきたパラナ式典。西森会長によれば、今回も一月には正式な招待状を大統領に持っていく。
先月、さらに一千万レアルを連邦予算に組み込んでもらうように、パラナ選出連邦議員団に承認してもらった。来年の各地の祭典費用に充てるつもりだ。西森会長は「六月までに出してもらうのは厳しいかもしれない。でも交渉していく」と意気込んだ。
博覧会はマリンガに変更=40万人の動員を目指す
西森会長によれば、当初はローランジャ市の式典会場で実施する予定だった日伯技術文化博覧会がマリンガ市に変更された。式典をはさんだ六月十九日から二十九日に開催し、会場となるソシエダーデ・ルラウには四万人を一度に収容する州屈指の建物がある。
今回の来聖中は、上野アントニオ元連議らと一緒に日本進出企業に出展を依頼して回っている。すでに、兵庫県と加古川市や西宮市などの姉妹都市からの出展も見込まれている。マリンガ文協が日本食や芸能で協力するほか、日系人の農業分野での貢献を展示するためにインテグラーダを始め日系農協も総出で協力するという。
西森会長も「パラナ全体から見に来てもらいたい」とし、同百周年総務の安立ルイス・カルロスさんも「期間中に四十万人の動員を目指す」と鼻息は荒い。さらに「イベッチ・サンガーロなどの有名歌手を呼びたい」と考えていると明かした。
その時期にはマリンガ以外にロンドリーナやクリチーバ、アプカラナなど各地でイベントが予定されているが、「六月二十二日に正式なパラナ州式典を行うのはローランジャで」と取り決めされているという。