ニッケイ新聞 2007年12月15日付け
マンテガ財務相は十三日、「暫定金融税(小切手税)の廃止は、政治問題であり経済問題ではない」と声明を発表した。「小切手税の税収四百億レアルを歳入予算から削除されても、財政黒字は達成し、経済政策の責任をまっとうする。二〇〇八年の経済成長率は三・八%達成を目標とし、増税の余地はない。残された道は、三権への予算削減や医療など社会福祉政策の見直しによる緊縮財政である」との宣言を十四日付けエスタード紙が報じた。
財務相声明は小切手税(CPMF)廃止の決定直後、発表された。ルーラ大統領はCPMFを政治的不如意としたが、財務省スタッフは財政上の出来事とみなし、動揺しなかった。財務相はCPMF廃止の対応策に全く触れず、財政政策に一切抵触しないとのみ資本市場へ宣言した。
財務省と予算管理省にとっては、上院が強引に四百億レアルの予算をむしり取ったようなもの。暫定金融税とはいえ、国家予算に穴が開いたことに違いはない。予算交付の見直しやIOF(金融税)の増率を至急に行うしかない。
唯一の慰めは、地理統計院(IBGE)の経済成長率の楽観的見通し発表で、税収の増加が見込めること。CPMF廃止による代替案は、メニューから一品ずつ減らすこと。不時出費は一切カット、感じない程度の増税などだ。
IPI(工業税)とIOF(金融税)の微調整は、議会承認が不要なので近日実施されそうだ。またCSLL(企業純益に対する社会保障引当金)の暫定令も発令されるらしい。
すぐに困るのは、連邦令が定めた二百四十億レアルの医療予算交付である。これまでは、小切手税で充当したからだ。政府は景気好転による税収の増加を、困ったときの神頼みで祈っている。経済成長率が五%でインフレが四%ならば、税収は九%増を見込める。捕らぬ狸の皮算用だ。
二〇〇七年十月までの税収は、百五十五億レアルが思惑以上に入った。この調子で行けば、来年の今ごろ三百五十億レアルが入る。トーレス上議(DEM=民主党)が「マンテガは首をくくる」というが、それはないと本人が否定した。