ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | CPMFと消費者?=縁遠い税金、脱税防止もウソ=アングラ・ビジネスまで生んだ

CPMFと消費者?=縁遠い税金、脱税防止もウソ=アングラ・ビジネスまで生んだ

ニッケイ新聞 2007年12月15日付け

 小切手税は、あと十七日間でなくなる。消費者にとって同税の廃止は、どう関係するのか。年間に十万レアルの銀行取引を行ったとして小切手税は、三百八十レアルであった。一日当り一レアルだから、小切手税の有無は消費者にはあまり影響がないようだ。
 まだ小切手税がなかった前政権時代、金融取引に課されるIOF(金融税)が代替の主要財源であった。その後、医療行政の財源としての小切手税(CPMF)が暫定措置で制定された。暫定のはずの小切手税は、〇・二%から〇・三八%へ増率し定着。延期手続きまで忘れていた。
 税収源としての小切手税は大きいが、消費者の日々の生活には馴染みがない。小切手税は低率税だが、課税範囲はとてつもなく広い。銀行を利用する人は、全員払わされるからだ。その一方で、アングラ銀行やそれにまつわるビジネスを繁盛させている。
 乗用車を現金で購入するなら、二〇〇八年まで待ったほうがよい。二〇〇七年に購入すると、乗用車価格が五万レアルとして小切手税は百九十レアルになる。不動産の購入なら、あと十七日間待てばよい。電気製品や家具を購入するなら、来月の先つけ小切手で払うか、無利子のクレジット・カードで一月決済に。
 小切手税は脱税防止に役立つというが、脱税する人間は、そんなマヌケではない。彼らは税監督官より数倍勉強するし、世界各国の税法にも通じている。
 小切手税廃止で政府は丸損のような言い方するが、そんなことはない。絶海の孤島に、ブラジルという名前の島があるとする。そこの住民は大部分が給料という名目で金をもらい、生活必需品購入という方法で全額を国庫へ返す。
 そこに小切手税が、含まれようと含まれまいと大差はない。国外へ不正送金をしない限りブラジルに流通している金は、汚い金もキレイな金も政府管理のシステム化にあり逃げ出すことはない。消費者は金を握っている間だけ、しばしの楽しい浪速の夢に浸っているだけなのだ。