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郵便局でノアの箱舟作戦=動植物4500点余を差し押さえ

ニッケイ新聞 2007年12月15日付け

 聖書は読んだことが無くても「ノアの箱舟」という言葉は聞いたことがある人が多いと思うが、このほど、「ノアの箱舟作戦」と名づけられた国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)の違法郵便物チェックで、四五〇〇点余りの郵便物が差し押さえられた。
 天然資源や環境を扱う官庁がなぜ郵便物かと訝る向きも多いかもしれないが、今回Ibamaが差し押さえた郵便物は、絶滅の危機のあるものも含んだ動植物を扱ったもの。動植物の輸送、売買は、研究調査のための場合も含め、Ibamaの許可が必要だが、差し押さえられたものは皆、定められた手続きを経ておらず、違法取引にあたると判断されたことになる。
 郵便密輸とでもいうべき品物は、銃器や麻薬の取り締まりに使われていたX線カメラをその他の物品にも拡大使用して摘発されたもので、十四日のエスタード紙は、昨年は生きたものと死んだものとで総計七〇〇〇匹の動物が見つかったという。今回の四五〇〇点というのは今年後半期に差し押さえられた品物の数で、今年度の総計はまだ発表されていない。
 同日のフォーリャ紙によれば、差し押さえられた物の中には、ランが三〇〇点、クモやサソリ、蝶、蟻、蜂、トンボ、カブトムシなどが五七六点、貝殻や軟体動物三六七〇点などがあった。ランは絶滅の危機が叫ばれているものの一つで、すべてがドイツ向け。また軟体動物のほうはヨーロッパ、特にロシア向け、サソリや昆虫類はスイス向けであったという。
 これらの違法郵便物の差出人は特定されており、連邦警察が捜査にあたる。今回差し押さえられた密輸品の総額は二三〇万レアルを超えるという。また、押収品の中には、中国から送られた狐の毛皮二点もあり、受取人も捜査対象となる。
 Ibamaの説明によると、十三日に郵便局から回収されたもののうち、ランはかなりの部分が再生可能あるいは苗として使えそうだという。また、再生できない植物や死んでしまった動物は、ブタンタンなどの施設に送られ、研究等に用いられるという。