ニッケイ新聞 2007年12月15日付け
岡本アソシエイツ代表取締役の岡本行夫氏がこのほど来伯し、三日午後四時から在サンパウロ日本国総領事館で「福田政権の課題」と「日本の技術の将来」の題で講演を行った。約百人が熱心に聞き入った。
先ず「福田政権の課題」については、小泉、安倍両元首相と福田首相との考え方や性格の違いなどを踏まえて「衆議院と参議院の力関係が違う国会のねじれの中で、アジア諸国とうまくやるだろう」と分析。
また、今後の課題としてインド洋上に停泊していた、日本の海上自衛隊補給艦隊の撤退に苦言を呈し、「日本の選択肢はテロとの戦いからの脱落か支援活動再開しかない」と強い調子で語った。
日中関係に関しては、日中の捉え方の違いを示した。日本は四一年の日米開戦から原爆投下までの数年間を重要視しているのに対し、中国は満州事変の起きた三一年から四一年までの十年間に日中戦争で起きた事件を大事にしている、と双方の認識のズレを指摘した。
続いて「日本の技術の将来」では、現在日本に対しての投資が比較的消極的に見られているが、日本は現在でも中小企業をはじめとした「ものづくり」のレベルは世界中の各部門で大きなシェアを占めているとして、確実に期待できる、と強調した。
参加者からの質疑応答では、日中問題や日独との違い、靖国神社参拝についてなど多くの質問が上がった。
田中信会頭は「貴重な時間をいただき感謝しています。短期間だが、ブラジルを楽しんでください」と激励し、講演記念のプレートを手渡した。