ニッケイ新聞 2007年12月20日付け
金融取引暫定納付金(CPMF、通称小切手税)で一敗を喫した政府だが、財政面での柔軟性を保つために取りこぼせなくなった政府経費自由枠(DRU)については、CPMF反対派の取り込みに成功した。
二〇一一年までの延長の承認待ちのDRUは、上院での二度目の表決が来年に持ち越されるか否かの瀬戸際にあった。このため、政府は必至の取り込み工作を行い、十九日の表決合意に至った。
十九日のエスタード紙によれば、取り込み工作の一つはロンドニア州とパラナ州銀行からの国庫納付金の一二〇日間の徴収停止。もう一つは州や市の米州開発銀行などからの借り入れ承認で、その総計は五三万七四二七ドルに及んだ。
一方、反対派はDRUの早期表決の条件に、CPMFの復活はさせない、政府独断での増税を行わない、CPMF終焉に伴う経済的混乱の責任を自分たちに負わせないの三点を挙げていた。これについては、ブラジル民主運動党のジュカ上議が、「政府はCPMFの復活は考えていないし、現在検討中の増税案も無い。大統領が方針を固めた時点で政策構築に取り掛かる」と明言したことで解消。
このことは十九日のフォーリャ紙で、十八日の大統領晩餐会席上、大統領自らがCPMF穴埋めのための新税創設も増税も無いと話したと報じられたことからも確認されるが、先のジュカ上議の「経済家も企業家も枕を高くして眠れる」という言葉はいつまで続くことかも問題である。
来年二月には二〇〇八年度予算の審議が始まるが、政府関係者の中には、大急ぎで緊急対策をとる必要は無く、二月までにじっくり案を練ればよいという考えがある。事実、十九日には、上院でのDRU延長承認以外に、経済スタッフと政府要人による経費削減等の検討会議も予定されているほか、エスタード紙には外国通貨やクレジットカードによる取引にかかる税の引き上げなども検討されているとの報道があった。
一方、十五日のエスタード紙には生活扶助は変更なしとあり、十九日付け伯字紙も、ロウセフ官房長官が社会福祉と経済活性化計画には変更なしと語ったと報じた。何を残し、何を削減するか。何を創設し、何を増額するか。政治的思惑だけで動くのではない健全な財政政策が望まれている。