ニッケイ新聞 2007年12月20日付け
八十歳を越えても衰えない事業意欲。子供移民が、農業を経て、都会に出てキタンダを営み、さらに自動車部品製造で名をなした。会社を売却しても引退はしない。〃夢〃を達成すべく、今度は観光事業に着目した。みずからクルーザーを設計し、その船でアマゾンの自然を人々に観てもらいたいと願う。企業家の中田勝秀さん(83、広島県出身)がおこしたアタカンアマゾン旅行会社の創立記念パーティーが、去る十一月二十八日午後八時から、サンパウロ市内のレストラン・シャカラ・サンタ・セシリアで行われた。旅行代理店会社関係者はじめ、知人など約百人が祝福に駆けつけた。
中田さんは「自分が感じた大自然の素晴らしさを、みんなにも感じてもらいたい」との意向で新会社を立ち上げた。
五歳の時(一九二九年)に家族とともにパラグアス―・パウリスタに農業移民として配耕され就労。その後、カフェ栽培などを中心に農業に携わり、約十八年間同地で過ごした。
戦後四七年ごろサンパウロ市内でキタンダ(八百屋)などを営みながら資金を集めて、五二年に農機具を中心に車の部品を扱う工場「NAKATA SA」を設立。五六年には本格的に自動車部品を扱うようになった。
六〇年には自動車整備の資格を取得するためにドイツへ渡った。その後、八〇年頃から九八年まで工場を切り盛りした。九八年にアメリカの多国籍企業Dana Corporationに売却したが、ブラジルにおけるナカタ・ブランドの功績をたたえ、同企業から表彰されている。
会社を売却した中田さんは、ブラジルの北部を旅行で訪れ、アマゾンの大自然に惚れ込み、のめり込んでいった。
「アマゾンはブラジルだけのものではなく、世界中のものだ」と中田さん。「世界中の人たちに見てもらって、このツアーが売れるようになれば夢の達成だ」と意気込んでいる。夢とはアマゾンの大自然を見てもらうことだ、と説明する。
同ツアーの一番の売りは、アマゾン川で起きるポロロッカ(川が逆流する潮流のこと)の見学だ。この他にもパパガイオス島やベレン、グァジャラーなど大自然を満喫できるツアーが目白押しだ。同ツアーの料金は、各旅行代理店に任せているために、現在設定は未定。
ツアーではアタカンⅠ、Ⅱ、Ⅲ号の三艇で旅をする。三艇とも中田さんみずからがデザインし、設計したものだ。構想から完成まで約三年を費やしたという。
中田さんは「ポロロッカを見て感動する人は多い。是非一度見てみるべきだ」と太鼓判を押している。
詳細照会は同会社のHP(http://www.atakanamazon.com)まで。