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2月から日伯両国で写真展=百年史編纂委員会=日本は国内30カ所で開催=百年史一冊目を4月に出版

ニッケイ新聞 2007年12月21日付け

 いよいよ百年史プロジェクトが具体化してきた。十八日午後、サンパウロ市のブラジル日本移民百周年記念協会の会議室で百年史編纂委員会が記者会見を行い、〇八年二月から日伯両国で巡回写真展を始めると同時に、四月に百年史の一冊目『写真でたどるブラジル日本移民100年史』(仮)を出版することを発表した。
 森幸一編纂委員長は「百年史編纂をきっかけに、地方文協とのネットワークを作り直し、日系社会全体の再活性化を最終的な目標にしています」と意義を強調する。
 日本側の巡回写真展「新世界に渡った日本人」は、JICA(国際協力機構)と百周年記念協会の共催となり、企画・構成はJICA横浜海外移住資料館とブラジル日本移民史料館が担当し、全伯各地の十日系史料館が写真提供などの協力をしている。
 開催期間は二月から十月頃までで約三十カ所を予定する。今年いっぱい全国のJICA支部で開催希望の受付けをして取りまとめ、年明けに順路を決定する。
 ブラジル側が選んだ移民史を象徴する約八十枚の写真の中から、三十枚程度をパネル展示する。開催県に縁のあるブラジル県人会の写真もいっしょに展示することも企画されている。加えて、移民関係の映像ドキュメンタリーを会場で上映する予定もある。
 ブラジル側でも、サンパウロ市の移民史料館を手始めに全伯の日系史料館や地方文協などで巡回開催する。
 一方、百年史の一冊目『写真でたどるブラジル日本移民100年史』は、来年三十周年を迎える移民史料館の記念事業も兼ね、同館と編纂委員会が編集。全伯の日系史料館が協力。
 来年四月までに東京都にある風響社から一万部出版し、一般書店でも店頭に並ぶ予定。B5版で定価は二千円弱、二百頁ていどに三百枚の貴重な移住写真をちりばめ、日ポ両語の解説文を加える。
 編纂委員会から風響社に買い上げ協力する二万ドル分、一千六百部程度をブラジルに運び、六月の式典に合わせて頒布する。
 同館所蔵の約六千点と全伯史料館から寄せられた写真から厳選し、百年間の流れを一冊で概観できるような構成にしている。移民史を概説する解説に加え、説明文を各写真につける。
 約十人の編纂委員が九月から毎週、編纂会議を開き、出版社との交渉や内容の詰めを行ってきた。
 記者会見にたちあった百周年協会の吉岡黎明文化委員長も「このような本がデカセギの多い地域の図書館や学校に置かれれば、少しでも彼らの誇りを支える材料になる。近隣の日本人住民が日本移民の歴史を正しく理解する一助になるのでは」との思いをのべた。
 すでに、百周年協会から、日本側の日伯交流年実行委員会の槍田松瑩委員長や、全国知事会の麻生渡会長(福岡県知事)、日伯議員連盟の麻生太郎会長に宛てて、買い上げ協力などの文書を送付した。
 森編纂委員長は「あくまでも、これは第一歩」と強調し、これをきっかけに「継続して写真や史料を集めていく体制を作り、二冊目以降の内容を充実させたい」と意気込む。
 『百年史』プロジェクトは五年間かけて総論、地方別、分野別、資料編などを毎年一冊ずつ刊行する。全六巻。総予算は二十八万ドル。