ニッケイ新聞 2007年12月22日付け
日本の新刊本がブラジルに――。日本の大手書籍販売業の株式会社三省堂書店(本社・東京都千代田区神田神保町一丁目一番地、亀井忠雄代表取締役社長)は昨年創業百二十五周年を迎えたのを記念して、日本語書籍約千五百冊をブラジル日本文化福祉協会(上原幸啓会長)やブラジル各地の図書館に寄贈した。贈呈式が二十日、同文化協会図書館でおこなわれ、日本から届いた最新の書籍の山を前に、受け入れ先の各図書館の代表者らは感嘆の声をあげた。
今回の寄贈は日本移民百周年記念行事の一環として、文協が蔵書の一新を計画したことに、亀井社長らが協力を申し出たのがきっかけで実現。JICAの「世界の笑顔のために」というプログラムを活用している。
このほど寄贈された約一千五百冊のうち、約九百五十冊は文協の図書館に寄贈された。残りは約五十冊を一つにして、事前に寄贈の受け入れを申し出た各地の図書館に送られた。
図書を受け取ったのは、文協を含め、沖縄県人会、日伯文化連盟、ジャカレイ日本文化協会、レシフェ日本文化協会、プレジデンテ・プルデンテ農村体育文化協会、ブラジル日系老人ブラジル連合会、カトリック大学日本文化研究科、ブラジル日本語センター、リベイラ沿岸日本人会連合会、弓場農場日本語学校の十一団体。
寄贈書の中には、世界的に有名な『ハリーポッター』シリーズ、辞書類をはじめとした英語書籍、日本の若者に人気な『NANA』や『Death note』などのマンガ類もある。ほとんどが近年に発刊された新しい書籍ばかりだ。
プロジェクト実現にあたって、ブラジル側は旧(株)ブラジル日本リーズの小松幹彦取締役社長、JICAシニアボランティアとして文協図書館に勤務する山本自子さん、ニッケイ新聞社の高木ラウル社長、日本側ではビジネスコンサルティング翡翠(ヒスイ)社の岡本弘昭代表が発起人として協力した。
寄贈式に代表で出席した小松社長は「無事に書籍を渡せてほっとした。世界で一番日系人が暮らすブラジルに多くのジャンルの書籍を寄附して、日本の文化や日本語を紹介できることはすばらしいこと」と笑顔を浮かべた。
図書を受け取った日文連のアントニオ・フェルナンデス事務局長、同協会図書館司書の西澤紘子さんは「新しい本を日本から買うのはお金がかかって難しい。五十冊もいただけるのはとても助かります」と述べ、同協会の生徒たちに有効活用してもらいたいと話した。
山本シニアによれば、文協図書館に寄贈された図書は、来年一月初旬に二週間ほど展示し、その後貸し出しをはじめる。同シニアは「新刊ばかりで本もツヤツヤ。すぐに読んでみたい本ばかりです」と喜んでいた。