ニッケイ新聞 2007年12月22日付け
代理処罰(国外犯処罰)は、移民にとっては新語と言っていい。日本で外国人が犯罪を起こし逮捕される前に外国に逃亡した犯人を当該国の警察に依頼し裁判所で審理してもらうことなのだが、最近のように人の動きが多くなると将来的には大きな課題となるに違いない。犯罪人の身柄引渡し条約があればいいのだが、これがなければ代理処罰の意味は大きい▼独仏のような移民受け入れ大国もだし、米国にはヒスパニック系などの不法滞在者は1000万人を突破し犯罪もかなり多い。従って―これらの国でも代理処罰が増える可能性が高いし、日本も同じ傾向にある。06年末で23件、37人の代理処罰要請があって中国が19人、韓国が14人。ブラジルは2件、2人となっている▼ただ―日本とブラジルの場合は、日系人の出稼ぎが30万人超と特別な関係になっており、しかも―犯罪率は極めて高い。先にミナス州で殺人と放火の罪で禁固34年5ヵ月の判決が下ったのも、代理処罰だったが、絞殺された三上要さんの遺族には大変な朗報と思われる。勿論、容疑者は控訴のようだし、最終的な解決にはまだ時間が必要だろうが、日伯の間に犯罪者を裁く司法的な連携が強まったのを喜びたい▼少なくとも、犯罪者らの「逃げ得」はもうない。しかし、問題もある。今回もだが、公判が始まってから9ヵ月で判決は異例の速さである。普通なら8年から10年は掛かると原田弁護士は語るが、ここは迅速化を急ぎたい。日本の裁判の長さも相当なもので批判されるが、ここは日伯ともに裁判の迅速さと早期判決と願いたい。 (遯)