ニッケイ新聞 2007年12月25日付け
経済産業開発銀行(BNDES)のエルナニ・トーレス専務取締役は二十二日、同行の融資政策を工業育成からエネルギーや物流機構など基幹分野の充実へ大きく変換と発表したことを二十四日付けエスタード紙が報じた。ブラジル経済が成長期に入った現在、この二部門が需要に応えていないと同氏はいう。これまで工業育成のために、融資総額の五〇%を充当したが、これを三三%に押える。二〇〇七年十一月現在、基幹分野への融資五六%を、さらに増額するという。
BNDESは二〇〇八年、産業発展の弱点となっていた基幹分野へ集中的にてこ入れする方針を明らかにした。この政策変換により基幹分野が、工業分野よりもケーキの大きな分け前に預かることになりそうだ。三三%の残り六七%は、基幹分野と農業分野、商業分野、サービス分野で分けることになる。
十一月時点での融資決定額では基幹分野も工業分野も大差ないが、二〇〇八年では歴然とする。BNDESは一九七〇年からこれまで、従来の経営方針を貫いてきた。二〇〇八年は、これを大きく変換する。
エネルギー需要の急増ばかりでなく、通信分野でも同様の現象が起きつつある。デジタル・テレビの登場や第三世代(3G)携帯電話の時代到来と資金需要は、まかない切れない可能性がある。電話網の国際化は二〇〇一年、すでに兆しがあり三百五十億レアルの資金需要は予想された。
輸出産業には現在、三〇%が融資されているが二五%に押えられる見込み。不足分は、国外で資金調達をすることになる。
マデイラ川水力発電所の建設入札が二週間前、電力相場を六〇%下回る見積もりで落札された。この入札は、電力料金に対する考え方が変わったと二十四付けフォーリャ紙が報じた。しかし、安価な電気が出回るのは二〇一二年後であり、それまでの四年は電気の値上がりを覚悟せねばならないようだ。
BNDESの努力により電力危機は、避けられるのか。関係者の話によると、電力不足といっても市民はシャワーを浴びる。工場は稼動する。電力危機は二〇〇三年から毎年いわれるが、実際には起きなかった。それは電力料金を上げて、各自の節電努力を強いているのだという。