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CPMFの衝撃強調=税対策必要ありとする企画相

ニッケイ新聞 2007年12月25日付け

 金融取引暫定税(CPM)による税収の見込みが断たれた政府は先週、政府経費自由枠(DRU)の確保に成功。とりあえず、来年二月の予算審議開始前に一息ついた感じだが、二十四日付けエスタード紙に、企画相が、CPMFを失ったことによる衝撃は端で言われる以上に大きく、何らかの特別収入が必要となるとの考えを明らかにした。
 同相によれば、CPMFによる税収減は、来年度の四〇〇億レアル減収だけではなく、二〇一一年までの一六〇〇億レアル以上の減収を意味し、政府の長期計画の見直しを必要とするという。CPMF削減は保健関係では投資予定金額の半分、社会福祉関係は四分の一を失うことになるというが、政府の大型プロジェクトの変更なしに経費削減の方策を練る必要があり、事業計画実行のタイミングも考え直さなくてはという。
 同相は、「大統領からは一月前半のうちに経済相とともに実行可能な方策について検討するように指示された」と言うが、「経済が好調な今の時期を逃してはならない」と考えている。
 経済の好調は事ある毎に伝えられているが、一月から十一月までの政府収入は、五三七一億六千万レアル(二十二日エスタード紙、フォーリャ紙との間で金額に相違があるので、エスタード紙を基調とする)で、昨年同期比一一%余りの増収となっている。CPMF抜きでの計算では二〇八億五千万レアルの増収とあるが、CPMFが今年の収入累計中六・一一%に及ぶ中での経費削減は楽な作業ではないといえよう。
 ただ、ここで気になるのは、二十三日のエスタード紙で報じられた、CPMF創設以来一〇二〇億レアルが保健関係に投じられてきたが、保健衛生関係の状況は余り変わっていないという記事。保健予算の三二%(今年度に関しては三八%)にあたる金額というが、診察予約のために何時間もかかり、診察は数ヵ月後、痛みがあっても手術は来年といった例が報告された他、上水道もない地域のことも報ぜられた。
 一方、二十四日のエスタード紙は、行政施策が非効率的であることを指摘。投入された経費額と効率とが相関関係になく、別の形で投入された予算で従来の方策以上の効果が見られた例もあげられている。大きな病院を増やすか、地域密着型の診療施設を増やし、対応できない例を大きな病院にといった工夫等、予算の投入の仕方と効率測定のあり方も問われている。
 なお、企画相自身は、選挙年にあたる二〇〇八年中の税制改革は難しいかも知れないとも述べている。