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生産部門に新たな課税=金融取引税の増税=小切手税の代替対策始まる=長期融資割高で景気に影響

ニッケイ新聞 2008年1月5日付け

 廃案となった小切手税の代替として官房室は一月三日、これまで生産部門へは免除されていた金融取引税(IOF)の課税を含む増税包括案を発表と四日付けエスタード紙が報じた。同案によれば、輸出金融や産業開発銀行(BNDES)融資、資本財融資、農業融資、信用組合融資などに対し〇・三八%をIOFとして課税するという。外国人投資家が金融市場で行う為替取引きには、同税を免除するらしい。
 同包括案は四日、発効となる。驚くのは、そればかりではない。土建業などサービスの輸出入やフランチャイズ、コンピューター・プログラム、輸出代金の先払い(ACC)などに関する為替契約にもIOFが課税される。
 金融取引など不労所得は免税とされ、経済発展の基本となる工場建設や新たな市場開拓の販売促進などに課税する増税案である。自動車購入のクレジットや先付け小切手のIOFは、従来の日歩〇・〇〇四一%から〇・〇〇八二%へ倍増。貴金属や貴重品担保による融資にも、課税される。
 銀行に対する対純益社会納付金(CSLL)は、九%から一五%へ増税。これは銀行だけでなく金融仲介業、消費者金融、不動産証券、クレジット・カード会社、リース、信用組合、証券取引所、穀物取引所、保険会社、投資顧問、投資信託が課税対象となる。これら企業は、CSLLの増税分を融資金や取引額に上乗せする。
 寝耳に水は、長期ローンを立ち上げた人々だ。小切手税の八・三倍に当るIOFを払わされる。例えば、自家用車二万五千レアルを五年払いの月利二%で購入したとする。するとIOFは年三%。支払額は四万四千四百十五レアルとIOFが以前の一六八・六〇レアルから一千三百八十七レアルに高騰。総額で四万五千八百二レアルだ。
 二〇〇七年は、二百四十六万台の新車が市場へ送り出された。今年はさらに拍車がかかり、四十六回払いの月七百五十レアルが主流である。さらにIOFが二十五レアル加算されると、顧客はさらに支払期間を延ばす。ディラーも顧客も、販売促進のために益々長期ローンへ走る。
 基本金利(Selic)の引き下げが止まったことで、銀行は金利の引き上げを検討している。一月から月三〇%以下という噂もある。そこへIOF増税だ。