ニッケイ新聞 2008年1月5日付け
サンパウロ州の各市、特にサンパウロ市からは大挙して年末の喧騒を逃れ、家族連れで年明けのフェスタを海岸、海水浴行楽地で過ごそうとした向きは、予想外のライフ・ラインの悪さに耐え切れず、早々と滞在地を切り上げてそれぞれの自宅に舞い戻るという事態に陥った。
クリスマスを境に詰め掛けた行楽客で海岸線の市町村は、人口が溢れたことから給水が不足し遂に断水に陥った。これに伴い市販のミネラル・ウォーターも底を尽き、小びん類の水販売も中止された。水道給水がなくても、ミネラル・ウォーターで炊事洗濯や体を洗うなどして辛うじて難を逃れた人も、欠水でなす術を失った。
水不足だけでなく町中至るところの渋滞、レストランやスーパーの行列の長さも、観光客を意気消沈させるに十分であった。このため年越しフェスタにサンパウロ州から海岸線に下りた六十万台の自家用車は、殆どが正月一日目には早々と帰宅の途についたと見られる。勿論、口々に環境の悪さに不平をこぼしながら。
北部海岸で最大の海水浴場ウバツーバなどの四市では、お世辞にも快適な環境とはいえないことで早朝から移動が見られた。午前十時にはイリャ・ベーラのフェリーボートは、順番五十分待ちとなり、カラグアタツーバまでの到着は二時間にも及んだ。
タモイヨ街道で十一万台、オズワルド・クルース街道で二十一万台の自動車は、全て宙返り帰宅したと見られている。最もひどいのが、サンセバスチオン市で水消費量が倍増した。水道局では部分配水を行っているが、高台の高級住宅地では完全断水となり、八台の配水車で配給を行った。