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連邦高速道路の死者11%増=打ち出せるか、効果的対策

ニッケイ新聞 2008年1月5日付け

 クリスマス連休の連邦高速道路での事故は、死亡者数など、過去二〇年で最悪と報じられたが、四日付伯字紙では、政府が交通事故削減のために、車両の没収も含めた対策案を練っていることが報じられた。
 政府が新対策案を練っているというのはジェンロ法相による発表で、二〇〇七年中の交通事故死者が二〇〇六年比一〇・八九%増の六八四〇人になり、負傷者数も六万九六二四人が七万五〇〇六人に増えたことを受けたもの。具体的には、アルコールの血中容認濃度引き下げ(〇・六グラム/リットルを〇・三か〇・一に)、速度違反の犯罪化、再犯者の罰金を車の価格まで引き上げる、死者を出す事故を繰り返した場合の車両没収の四点が検討されているという。
 〇七年度の事故の原因別分析は未発表だが、運転者側の問題が大きいことは、連邦高速道路だけの違反が二〇〇万件以上と、〇六年より二七%も増えたことにも表れている。うち、速度違反は約六〇万件、また、飲酒運転は六一二八件で前年比一五四%の増加。事故原因別にみると〇六年の飲酒運転は一・五%、不注意が三四%だが、飲酒運転は死者を伴う事故になる可能性が大きい。
 また、道路状況や天候も事故要因とされるが、四日付フォーリャ紙は、事故の八〇・七五%は状態の良い道路で起きており、六三%は路面が乾いた日に起きていると報道。また、五三・六%は日中の事故で、七一・四%が直線コースでの事故だともいう。また、十二月三十日付エスタード紙は、キロ当たりの連邦高速道路での事故はサンパウロ州が全伯一(九・〇五件)と報道。十一月八日付エスタード紙は、州や民間委託分を含む高速道路の評価で、サンパウロ州の七三・三%は非常に良いと評価されたとしている。乾いていて整備された道路での速度違反等による事故多発という場面が描かれる。
 車両数の増加(過去七年は平均七%の伸び)も事故多発の原因とされるが、法相は直接的な原因とは言えないとしている。ただ、好景気の時に事故多発という傾向はあるようで、気持ちの引き締めが必要。
 専門家らは、政府が事故削減対策を練ろうとする努力は認めつつも、既にある法規が確実に適用されていないと指摘。運転者の教育と厳罰化の必要を説く専門家がいる一方で、速度違反を犯罪扱いしても違反者を収容する場所も裁く場もないのが現状でもある。酒類の規制を強化し、連邦高速道路沿いでの販売を禁止する法案の採択と実施も待たれている。