ニッケイ新聞 2008年1月8日付け
【静岡新聞】昼間は工場で働き、夜はサンバのリズムで観客を魅了―。“デカセギ”として来日した浜松市内などの日系ブラジル人がバンド「ノーヴォ・エスケーマ」を結成、CDデビューを果たした。ブラジル人向けインターネットラジオで人気が沸騰し、高い演奏能力と切ないメロディーで祖国ブラジルからも多くのリクエストを獲得。昨年八月にブラジルへ渡り、ファーストアルバムを制作した。去る十二月二十二日には同市東区天王町のイオン浜松市野ショッピングセンター内で無料ライブを開いた。
六弦ギター・ビオロン奏者のクラウジーニョさん(25)=浜松市東区植松町=は、二年半前に来日して湖西市の自動車部品工場で働き始めた。むし暑い作業場での長時間の作業が続く中、心のよりどころとなったのが楽器だった。同じように工場で働く音楽好きの友人と工場勤務の合間をぬって市内でライブを開始。ステージで観客と一緒に歌うと、観客だけでなく自分たちの心も満たしていった。
彼らが奏でるのは、軽快なリズムでロマンチックな詩を歌い上げる少人数編成のサンバ「パゴーヂ」。東京や名古屋でのライブも重ねるうち、日本のファンがポルトガル語の歌詞を口ずさんでくれるようにもなった。
「日本で生まれたから成功した。音楽を通じて日本人とブラジル人をもっと近づけたい」とクラウジーニョさん。デビューCDは十四曲入りで、日本人にも読めるように歌詞カードにカタカナのルビを振った。「歌詞に込めたストーリーや感情も知ってほしい」と日本語訳も制作中だ。
メンバーは「プロとして恥じない演奏をしたい」と意気込んでいる。