ニッケイ新聞 2008年1月9日付け
百周年に向けて各地で準備を進めるパラナ日系社会。州都クリチーバでも着々と盛り上がりつつあるようだ。同地記念事業の目玉の一つ、百周年記念公園は二月に着工の予定。このほか、市内にあるプラッサ・ド・ジャポン(日本広場)の改修事業に加え、四月末をめどに日系人実態調査の本出版も計画されるなど、盛りだくさんの内容だ。一日にプラッサ・ド・ジャポンで開かれた新年会には、TVグローボやバンデイランテスなどのテレビ局が取材に駆けつけ、一般ブラジル社会におおいにアピールする催しとなった。
コーディネターの瀬戸クラウジオさんは「いつもは会館でやっているが、百周年を記念して広く一般に祝ってもらおうと、場所をプラッサ・ジャポンに代えたら若い人が多くなって良くなったよ」と成果を語った。
集まった約百人は、金光教クリチーバ教会の梶原勝行教会長による静粛なお祓いに参加した。若者たちによる和太鼓の演奏を楽しみ、おせち料理の黒豆、お雑煮などを食べて御神酒を飲み、節目の年の正月を祝った。
主催したクリチーバ日伯文化援護協会の山脇ジョルジ会長は「みんなで力を合わせて、いろいろな百周年の行事を達成していきましょう」と力強く呼びかけ、佐藤宗一在クリチーバ総領事も新年の挨拶をのべた。
クリチーバ市の原ルイ総務局長によれば、百周年記念事業がいくつも進んでいるが、あまたの記念事業中で最も広大な面積(五十万平米)を持つ百周年記念公園の建設がその目玉だ。笠戸丸の錨を引き上げて展示する予定もあり、話題を呼んでいる。
工事は二月から開始される予定で、場所はウベラーバ区のイグアス環境保護地。八百五十万レアル(約五億三千円)の総工費のうち百万を市役所が負担し、残りはすでに連邦政府の予算に組み込まれており、原総務局長は「現在は正式な支出確認を待っている」という。
公園予定地を占拠しているファベーラ住民を移転させる社会的な意義に加え、集中豪雨時の洪水避け貯水池としての機能、近くの空港の航路をじゃまする鳥類を減らす等の役割も市役所は期待しているが、最大の意義はなんといっても「移民百周年を顕彰することだ」と総務局長は強調する。
その池を太平洋にみたて、日本とブラジルをかたどった島を作って、交流を象徴する経路を設け、文化センターやスポーツ施設も建設して、市民の憩いの場とする。連邦財源が使用可能になるのが二月以降のため、「六月にまでに完成させることは難しい。定礎式をできれば」と語った。
このほか、三十七万レアルをかけた日本広場の改修工事は今月から開始する予定。クリチーバ野球場はすでに改修をはじめた。
同地百周年記念事業の目玉の一つには、既存のIBGE(ブラジル地理統計院)のデータを活用した日系人実態調査の本出版があり、レアル銀行の支援により四月末に発行される。同統計院の過去の国勢調査には「黄色人種」の動態が分析されている。
「どのくらい日系大学生がいるとか、平均収入、車や電話の所有率など、日系人がどんな生活をしているかが分かるはず」と原局長は意気込む。
パラナでは、州全体で盛り上がりを見せつつあるようだ。