ニッケイ新聞 2008年1月11日付け
電力危機の可能性を巡ってルーラ大統領は九日、鉱山動力省を委ねているPMDB(ブラジル民主運動党)首脳部を呼び、エネルギー政策が直面する実情を明白にする意向表明と十日付けエスタード紙が報じた。経済の心臓であるエネルギー政策を巡って、重要ポストを政治取引の道具とすることに反対し実力者起用を主張するロウセフ官房長官と、鉱動相にロボン上議を推薦するPMDBの間で温度差が生じている。
電力危機の亡霊は、官房長官とPMDB首脳部の間で八カ月にわたった政治闘争へ時限爆弾を持ち込んだ。政府のご意見番である官房長官は再々、サルネイ上議の右腕ロボン上議の鉱動相就任に反対した。
鉱動省はロンデウ前鉱動相がガウタマ建設の公金横領関与で引責辞任後、フブネル臨時鉱動相が就任。降雨不足が最近、懸念されたことで電力危機の可能性が浮上した。正式に鉱動相の就任が決まると、電力関係の公団エレトロブラスやエレトロノルテ、エレトロスルが官房長官の支配下から離れることになる。
さらに官房室が指揮する経済活性化計画(PAC)のダム建設や貯水湖計画の行方も知れなくなる。これらの国家の命運がかかる計画を、マラニョン州の徒党レベルに委ねられないという。官房長官が抱える生え抜きの技術陣に、ブラジルのエネルギー管理を継続させる狙いがある。
鉱動省はPMDBの縄張りとされることで、連立政権もこれまで安泰であった。それを官房長官は公団の門を閉じてPMDB配下の技術陣を入れさせないと、テメルPMDB党首は抗議した。しかし、政府の重鎮「官房長官」と政権の重鎮「PMDB」がリングで対決するのは賢明でない。話し合うべきだという声も双方にある。
政府は小切手税で敗北を喫した後、電力危機でチョンボを仕出かしたくない意地がある。今年度予算案のノロノロ審議もあり、政府は開店休業状態。エネルギー問題も戦利品の分け前並みに扱うのか、大統領の器量が問われている。
一方、産業界と関連団体は、政治家の無責任なエネルギー政策を恐れている。新鉱動相にズブの素人が政治取引で起用されると、電力危機は回避できない。産業界は、実力主義の官房長官を応援している。