ニッケイ新聞 2008年1月11日付け
「最初は違和感があったが、思想など関係なく伝統としてやっている」
そう話すのは、イタペセリカ・ダ・セーラの新年会で教育勅語奉読を務めた五十九歳の戦後移民。いわゆる団塊の世代で、教育勅語はブラジルで初めて読んだという。
戦後三十五年目に生まれたコラム子、戦前にタイムスリップした感覚だった。そして、戦後日本が失った〃絶対的に敬う何か〃を信じ続ける姿勢そのものに清々しいほどの新鮮さをも感じた。
対照的だったのは、廃品回収場で見つかった御真影(十二月十八日付け)だ。記事を読んで「時代なのかねえ…」と漏らした戦前二世の言葉が耳に残った。
この両極端な価値観の違いが、百年を迎えるコロニアとその将来を象徴しているような気がしていならない。
新年会に出ていた若い世代は、伝統を受け継いでいくだろうか。(剛)