ニッケイ新聞 2008年1月15日付け
静岡県焼津市で〇六年十二月に起きたブラジル人母子三人殺害事件で、殺人容疑で日本政府から国外犯処罰(代理処罰)要請を受けているブラジル人、エジルソン・ドニゼッチ・ネベス(Edilson Donizeti Neves)容疑者を、サンパウロ州検察当局が起訴していたことが十四日までにわかった。
担当のユリカ・タニオ・オクムラサンパウロ州検事正によると、昨年十二月十日に起訴した。依然として被告の身柄拘束には至っていないが、初公判が二月二十一日午後二時からサンパウロ市内の刑事法廷で予定されている。
渡部和夫元サンパウロ州高裁判事は、「ブラジルでは容疑者を拘束しなくても起訴ができる。起訴に踏み切ったのは捜査当局が容疑者の所在をある程度把握しているからでは」とした。同裁判は陪審裁判でおこなわれる。
ネベス被告は昨年十二月、当時交際していたブラジル国籍の女性派遣社員、ソニア・アパレシーダ・ミサキ・フェレイラ・サンパイオさん=当時41歳=宅で、ミサキさんとその次男を殺害、さらに自宅で長男を殺害した疑い。
同被告は事件発覚直前にブラジルに帰国。サンパウロ州バストス市出身で、焼津市内で貸金業などに関わっていたとされ、現在もブラジル内にいると見られている。
静岡新聞の報道によれば、日本の警察当局も同起訴がブラジル側の裁判所で承諾されたことをすでに確認しているという。同事件は、日本政府の要請に基づく三件目の国外犯処罰(代理処罰)要請として手続きされた。