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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年1月15日付け

 ブラジルもやっと鉄道の見直しが始まった。これほど広大な領土を持つのだから人や物の大量輸送には、自動車より鉄道の方がいい。尤も―経営を維持できるだけの乗客を確保できるのかなどの難問があって東京―大阪のように新幹線で颯爽と往来するのは簡単ではない。しかし―リオ―サンパウロに高速鉄道を敷設するのは決して夢ではない▲ルラ政権も乗り気だし、時速300キロの鉄道を導入すれば、両都市は2時間程度で結ばれ、バスよりも速い。実は、新幹線の話は昔もあって日本の旧国鉄から調査団が来伯したことがある。技術的には可能だが、利用客数が足りないため実現は難しいの調査結果だったが、現在のブラジル政府の動きを見ると、この課題も解決したのかもしれない▲駆け出しの頃、リオの取材は汽車が多かった。夕方の5時だったかに出発すると翌朝8時には着く。この列車の楽しみは、食堂車の夕食であり、乏しい取材費から搾り出しワインなどを傾けながらの豪華?なものであり、後は寝台車で熟眠する。片道に15時間も掛かるけれども、愉快な旅だったが、これが2時間となれば、みんなが我も我もと飛びつく▲ブラジル政府は来年中に事業主体を入札で決める方針だそうだが、日本も「新幹線の技術を」と積極的に働きかける。まあ、日本人移民としては、是非―あの安全で速い列車を―と望んでやまないが、鉄道で名高い仏や独もいるし競争はかなり厳しい。だが、この商談を指揮する三井物産などにも頑張ってもらい―あの新幹線の勇姿をどうかこの国に走らせてほしい。      (豚)