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小切手代替税=政府、族議員説得工作へ=苦肉の策PACも=野党は資金源の途絶作戦で=隠れ蓑「医療予算」に与野党の思惑

ニッケイ新聞 2008年1月16日付け

 政府は十四日、政治的責任を負わずに小切手代替税を設置する方針を明らかにした。議会が医療部門の強化に同意するなら、当然資金源が必要である。政府は特に、医療族議員とされる上議二十四人と下議二百四十六人を説得する考えだ。二〇〇八年度予算案の上程者ピメンテル下議(PT=労働者党)は、連邦補足令二九号として医療予算の恒久組み込みで、四百七十八億レアルを計上する考えだ。
 小切手税は選挙費用に流用される懸念があるとして廃案に追い込まれたが、政府は医療費の恒久財源が必要であるとして医療族議員を説得する考えを示した。政府の中にも代替税を認めらなければ、医療予算は計上しないとする財務省と予算管理省が、不評の新税設置に反対する連立与党と対立している。
 小切手税四百億レアルを巡って与野党が激しい白兵戦を演じた後で、廃案による穴を埋める代替税は筋が通らない。これまで小切手税が、政府浪費の隠れ蓑になっていたという見方が支配的のようだ。
 ルーラ大統領は、医療のPAC(経済活性化計画)を立ち上げ二十四億レアルを捻出し、任期終了の二〇一一年まで間に合わせる考えらしい。政府は小切手税を失い、医療PACを机の引出しに放り込んでいた。二〇〇八年は、医療にどうしても四十億レアルが必要不可欠なのだ。
 GDP(国内総生産)の一定率を医療費に充当する連邦令によれば、四百七十八億レアルを計上できるはずだが、交付されないのでテンポロン保健相は義理を欠き数々の債務を保留している有様。だから族議員もいうことを聞かない。医療族議員は、先ず予算獲得が先決という。
 これまで医療予算が政府取引に流用され、族議員は国民を騙したことにじくじたるものがある。新税(CSMF=社会福祉金融税)は医療だけに充当するというが、小切手税の二の舞は踏まないという。それでも保健省の旧次官らが、新税の署名運動を始めた。
 政府が〇・二〇%の小切手代替税を検討していることで、野党はこれ以上の増税は国民を疲弊させると訴えた。政府が医療財源を欲しいなら、信任職の縮小や補正予算の削減など政府浪費から捻出しろという。政府がすることは、医療税だといいながら何に使っても良いという一項を設けるのが、通弊だと皮肉った。