ニッケイ新聞 2008年1月17日付け
「飛躍の年に」――。在サンパウロ日本国総領事館(西林万寿夫総領事)主催の日伯交流年のスタートを記念した開幕式典が十五日夜、サンパウロ市ヴィラ・オリンピア区のホテル「ブルーツリー・タワーズ」で行なわれ、約二百人が祝った。日本政府代表として、木村仁外務副大臣、ブラジル側からは、飯星ワルテル、ウィリアン・ウー両連邦議員、フルラン前商工大臣、植木茂彬元鉱山動力大臣らが出席、百年にわたる日本移民の歴史に思いを馳せるとともに、将来の両国の友好関係を誓い合った。
木村外務副大臣は、式典当日にブラジル入り。開拓先没者慰霊碑や日本館、ブラジル日本移民史料館を訪問したことに触れ、「百年のごく一部を実感した」と話した。続いて、皇太子さまのご来伯、日本側で百七十以上の交流年事業が行なわれることなどを報告。
停滞気味だった八、九〇年代を振り返りながら、〇八年を「日伯関係の飛躍の年にしたい」と将来の両国関係の強化を訴えた。
続いて、日本ブラジル経済委員長の槍田松瑩・三井物産社長が「ブラジルでの日本企業は日本移民が築いた信用に大きく助けられている」と高く評価。
ブラジル政府を代表して、ブラジル外務省サンパウロ事務所のジャジエル・デ・オリヴェイラ所長が「車の修理をするとすれば、信用の出来る日系人の店に行く」と笑いを誘い、日本人の勤勉さや時間を守る国民性を称え、「世界最大の日系社会はブラジルの特権。日本の美徳を守り続けてほしい」と締めくくった。
島内憲在ブラジル日本国大使が乾杯の音頭を取り、出席者は百周年のスタートを祝いながら、グラスを片手に歓談を楽しんだ。
十六日にイビラプエラ劇場で行なわれる「日伯伝統音楽の夕べ」に出演する三味線奏者の吾妻宏光さんが「津軽じょんがら節」、日本の伝統音楽を新たな形で発信する女性三人のグループ「RIN」が尺八と琴で「さくら」を演奏、会場から大きな拍手が送られていた。