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皇居で新春恒例の歌会始=渡辺さんブラジルから参列

ニッケイ新聞 2008年1月17日付け

 皇居・宮殿の松の間で十六日、新春恒例の「歌会始の儀」が行われた。今年の題は「火」。入選者に続き選者、陛下に招かれて歌を詠んだ召人(めしうど)の歌人宮英子さん(90)、高円宮妃久子さま、皇太子妃雅子さま、皇太子さまの歌が順に読み上げられ、最後に皇后さまの歌が二回、陛下の歌が三回繰り返して朗詠された。
 陛下は昨年九月の秋田県訪問で国体開会式に出席した際の情景を「炬火台に火は燃え盛り彼方なる林は秋の色を帯び初む」と詠まれた。
 皇后さまは地方訪問の夜、地元の人たちが宿泊先近くにちょうちんを持って集まり、両陛下も窓からちょうちんを振って応える「ちょうちん奉迎」の風景を描写。「灯火(ひ)を振れば彼方の明かり共に揺れ旅行(ゆ)くひと日夜(よる)に入りゆく」と国民とのふれあいを詠んだ。
 皇太子さまは昨年十一月に訪れた熊本・阿蘇山火口の噴煙を、雅子さまは療養で欠席したが、長女愛子さまが誕生日のケーキに立てた六本のろうそくの火を吹き消して笑顔が広がる様子を歌にした。
     ◎
 ブラジルから入選を果たしたサンパウロ在住の渡辺光さん(78、ニッケイ歌壇選者)も、今年初めに訪日し参列した。渡辺さんの歌は、旅行で田舎を訪れた際に見た、ブラジルらしい広大な景色を詠んだ、「晩秋の牧場の地平に野火走り一千頭の牛追はれくる」。

来年の題は「生」

 〔共同〕来年の歌会始の題が「生(せい)」と決まり、宮内庁は十六日、応募要領を発表した。応募は未発表の歌を一人一首で「生」の字を使うことが条件。「生」の文字を使っていれば「一生」のように「しょう」と読んでも「生(い)きる」「生(う)む」「生(お)う」などと訓読みしても構わない。締め切りは九月三十日(消印有効)。