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黄熱病認定10人死者7人=開発による環境変化も影響か

ニッケイ新聞 2008年1月18日付け

 保健省が十六日、新しい黄熱病の認定患者について発表したと十七日伯字紙が伝えた。発表によれば、罹患者総数は一〇人、うち七人が死亡したことになる。
 一〇人の罹患場所は、ゴイアス州(GO)が九件、残りはマット・グロッソ・ド・スル州(MS)。いずれのケースも森林地帯などで罹患したもので、黄熱病に罹った猿の血を吸った蚊に刺されて感染したもの。人が感染した後に患者の血を吸った蚊を媒介として発生した都市型のケースは報告されていない。
 認定された一〇人以外に検査結果を待っているケースが一二件、黄熱病ではないと判定されたケースも七件となった。
 黄熱病は、二〇〇三年に六四件報告され、うち二三人が死亡した後は、五人、三人、二人、六人が罹患、死亡例も三人、三人、二人、五人とその発生が抑えられていたが、今年は十六日間に昨年の総数を超えたことが注目される。
 この傾向について、十七日のフォーリャ紙は、環境問題の専門家らが、中西部のセラードの崩壊が猿の黄熱病発生の主要原因の一つと考えられていることを報じた。黄熱病の媒介となる蚊への対策ミスも重なっているといえるが、専門家らは、二〇〇六年に稼動し始めたルジアニアのコルンバ4水力発電所もGOでの猿の黄熱病蔓延と関係しているという。また、セーラ・ダ・メーザ水力発電所の稼動開始(一九九八年)と二〇〇〇年の黄熱病発生(八五件、うち四〇人が死亡)との関係にも触れている。
 これに対し、コルンバ4発電所の担当者は、発電所やダムが原因ならば、もっと早く病気が発生しているはずと反論。生物学者は、直接の相関性は証明できないが、環境バランスの崩れが黄熱病発生に影響する可能性はあるとしている。
 これに対し、環境相は、人の居住地区に近い所に住む野生動物の増加は熱帯性の病気の危険性を増すとし、野生動物の生息域移動の原因として、森林破壊、環境システムの変化、人の居住区の急速な拡大の三要因が考えられるとしている。人と野生動物が接触する機会は、野生動物の餌付けや野生動物を人の居住地に連れ込むことによっても起こるが、人の住環境に近い所に住む猿の増加と媒介となる蚊の増加が人への感染の拡大につながっているとGO連邦大学教授(生物学)も指摘している。
 セラードについては十二月二十七日本紙でも触れたが、森林破壊やダム設置などが招く環境変化は生態系への影響だけではなく、人の生活にも影響を及ぼすこすを教えてくれた黄熱病の人への感染。蚊の撲滅対策と予防接種が当面の策といえる。