ニッケイ新聞 2008年1月18日付け
日本の東海地方三県(愛知、岐阜、三重)に住むブラジル人の収入が年間約二五〇〇億円に上るという試算が発表された。大垣共立銀行系のシンクタンク、共立総合研究所(岐阜県大垣市)が昨年十二月二十日に発表した試算によるもの。同試算ではさらに、同地方在住ブラジル人の年間消費額を一四〇〇億円以上と推測しており、在日ブラジル人コミュニティの経済力が地域経済で大きな割合を占めつつある現状が浮き彫りとなっている。
同研究所では、〇五年の国勢調査、在留外国人統計に基づいて同地方のブラジル人労働者を約七万二〇〇〇人、うち九〇%が製造業・サービス業に従事していると仮定。浜松、岐阜で実施したアンケートから、ブラジル人労働者の年間収入を年間三六〇万円(非製造業は三三六万円)と推計し、総収入を二五七四・七億円と試算した。
また、米州開発銀行のデータから、母国への送金額を約四八二億円と推計している。
総収入から、送金や貯蓄、税金や保険料などの支出を引いて「国内消費額」として試算した数字は、一四二八億円。この金額から直接・間接的に二二七四億円の経済波及効果が発生すると算出した。
これら在住ブラジル人の消費活動が東海三県のGDPに占める割合は〇・二八%に上る。同研究所では、同地域の経済にとって「決して見過ごせない規模のもの」と、その経済的影響の大きさを指摘している。
東海三県在住のブラジル人(二〇〇五年末時点、法務省「在留外国人統計」による)は、愛知が七万一〇〇四人、岐阜が一万九一五二人、三重が二万一三三人の計一〇万二八五人で、在日ブラジル人全体の約三分の一を占める。
この数字は〇六年末(同統計)には、愛知七万六二九七人、岐阜二万四六六人、三重二万一二〇六人の計一一万七九六九人へと約一万五〇〇〇人増加した。在住ブラジル人社会が同地域の経済に及ぼす影響も、同様に増大していると推測される。