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ブラジル人帰還兵が服役=イラク除隊後、凶暴性と中毒に

ニッケイ新聞 2008年1月19日付け

 ゴイアス州カタロン市から四年前、米国へ移住したルッカス・T・ボルジェス(二五)は、米軍海兵隊へ志願し、イラク前線へ派遣された。現地へ到着した直後から六カ月間、テロリストと毎日交戦し、殺人と犯罪の違いが区別できなくなったらしい。
 除隊後、北カロライナ州で自動車整備の職工として就職。ここで冬季エンジンの始動に使うエーテルを呑み、中毒になった。ある日、逆行車線に入り抗議する相手を殴り殺した。今はポークトン刑務所で、三十二年の刑で服役中。
 十三日付けニューヨーク・タイムスが、イラクやアフガニスタン帰還兵の異常感覚について同件を報道。ブラジル時代の同君と現在の状態を取材した。ヴェトナム帰還兵が正常な社会生活へ戻れないトラウマは話題になったが、現在は忘れられている。
 一方同君の母親は、米軍が兵士を前線へ配置する前に、無垢の人間を殺害することに良心の呵責を感じない手当てを頭脳に施されることを知らされていたという。戦場から帰ったら元の人間へ戻す治療も施すべきだが、それはなく精神的葛藤を抱えながら子息は社会へ放り出された。