ニッケイ新聞 2008年1月19日付け
紅白歌合戦のとりを飾った歌手、五木ひろしは百周年式典で歌うのか――。去る七日から十一日までの五日間、五木プロモーションの関係者四人が来伯し、六月にサンパウロ市やパラナ州ローランジャで行われる式典の会場を現場視察したほか、百周年協会、イベント会社などと打ち合わせを行った。
今回の来伯により、資金面の責任の所在が明らかにされ、実現の鍵を握るのは「君が代」を式典で歌えるかどうかに絞られてきたようだ。
今回来伯したのはチーフマネージャーの梅崎洋視五木プロモーション制作宣伝主任、音響担当の長村弘一大阪音響通信研究所主任、照明担当の三石貴久東京舞台照明ライテイング事業部主任、舞台監督の広瀬瞬クリエイト大阪嘱託の四人。
サンパウロ市のサンバ会場視察に同行した関係者は、「日本から来たみなさんは、すごいところだと絶賛していました。ここで歌うことになれば言うことはない」とその時の様子を話した。
以前から問題となっている来伯費用に関しては、年間八百回以上のイベントをてがけ、日系のアウグスト・カノ氏が社長をするサンシャイン・エンターテイメント社がショーに関する責任を負う旨を記した文章を昨年十二月五日付けで百周年協会に提出している。
日伯音楽協会の北川彰久会長によれば、サンシャイン社と打ち合わせした時に「もし、赤字だとしても行うのか」と尋ねると、サンシャイン社側は「もちろん行うし、費用のことは心配ない」と答えたという。イベント・広告を企画するプレイコープ社も共同で進める。
五木ひろしが式典で「君が代」を歌う場合は、ブラジル国歌をロベルト・カルロスに担当してもらうことを検討する案も出ている。
九日に訪れたパラナ州では、同地の百周年関係者と懇談し、ローランジャ会場の視察を行った。式典の見取り図や青写真などを見ながら打ち合わせを行った。
現在、日本側で正式な契約書がつくられており、サンシャイン社と日本側との正式な契約調印が行われた後に、百周年協会から正式な招待状が送られる予定。日本側としては、日伯同時に記者会見を行い正式発表することを考えている。
現在検討されているプランでは、六月二十日にサンパウロ市バーラ・フンダ区のメモリアル・ダ・アメリカ・ラチーナ敷地内に特設舞台を設置して、椅子席三千、立ち見席一万七千の計二万人のコンサートを行う。予定では六月十七日=着伯、十八日=リハーサル、十九日=ディナーショー(ヴィア・フンシャル)、二十日=コンサート(同メモリアル)、二十一日=聖式典参加、二十二日=パラナ式典参加、二十三日=離伯となっている。
なお、懸案となっている式典で「君が代」を歌うかどうかに関して、百周年協会は在聖総領事宛てで「五木ひろし氏の『君が代』歌唱承認申請書」を〇七年五月五日付けで提出し、同八日に受け取り印が捺されている。外務省を通して宮内庁などの日本側と調整した結果が連絡されることになっているという。
北川会長によれば「まだ返答は来ていない」。ただし、関係者によれば「プロダクション側としては「『君が代』が式典で歌えることが前提となっているようだ」と話している。