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預金報告は人権侵害=国税庁は全員脱税犯人扱い

ニッケイ新聞 2008年1月23日付け

 小切手税が廃止されたことで国税庁は二十八日、六カ月間に個人が五千レアル以上、法人が一万レアル以上の当座預金または貯蓄投資をする場合、銀行は国税庁へ報告せよという通告をした。同通告は、政治的にも法律的にも重大な過ちであると三日付けエスタード紙が論説を掲載した。
 同通告は官報に公布され、一月一日から実施である。国税庁の言い分では、小切手税廃止により脱税者の追跡が困難になったからだという。国税庁は小切手税で銀行取引をする人の預金出納や営業内容、金融取引の状況、外貨の売買、海外送金で追跡調査を行っていたらしいのだ。
 スカッフFiesp(サンパウロ州工連)会長は「小切手税が脱税防止で無益であることは明白であり、政府のいっていることは大ウソである」と述べた。小切手を売買する多国籍アングラ銀行があって、正規銀行を使わなくても事業には全く支障を来たさない。
 最高裁のメーロ判事は、同通告が連邦令に定めた個人の守秘権侵害に当り、銀行取引を行う全員を脱税罪で告発する法の暴力行為だと位置付けをした。民主国家の徴税は、宗教裁判のように水攻め火攻めで取り立てるものではない。最高裁の見解は、同通告がブラジル国民の基本的人権と自由を束縛するとした。
 日本では、日本人が二百万円以上の資金を動かした場合、銀行は財務省へ報告することになっている。報告義務から外されていた外国人出稼ぎの資金移動も最近、報告対象になり身許台帳の登録が行われている。