ニッケイ新聞 2008年1月24日付け
政府は二十二日、経済活性化計画(PAC)を工事遅延に関わらず順調に進行中という虚偽の経過報告を発表と、二十三日付けフォーリャ紙が報じた。昨年九月に発表した工程表によると、特に電力関係でベーロ・モンテとリベイロ・ゴンサウべス両水力発電所の工事遅延。インフラ関係ではカンピナスーリオ間のガス・パイプライン工事遅延が明白だ。このような緩慢振りでも政府は、電力危機の可能性を否定して憚らない。
報告書内容を見ると、二〇〇七年度PAC予算に計上された百六十五億五千九百万レアルのうち、交付されたのは僅か四十五億三千六百万レアルである。懸案の工事は二千件以上あり、どこへどう配分したらよいか迷ったようだ。予算を持ちながら充当することなく、オタオタしながら工事を遅延したらしい。
PACの経過報告は、粉飾が明らかだ。二〇〇七年九月の最終報告の工程表によれば、工事遅延は一目瞭然。それでも順調に進行中と茶を濁している。アングラ原発三号は千三百五十MWの電力供給が期待されながら、二〇一三年十二月完成予定が二〇一四年五月へ延期され、竣工への意気込みの様子はない。
他にリオ州イタグアイ港の深度掘り下げやサントス港のバイパス道、グアルーリョス空港の滑走路補完工事なども予定から大きく遅れているのに、概ね順調とし事なきを得ている。ロウセフ官房長官は、遅延は環境省の許可待ちなど司法手続きによるもので、時間的な損失は取り返すという。
PAC予算の残余分は二〇〇八年、突貫で工事を進行させるらしい。それでPACは、ブラジルを北端から南端まで工事現場にすると宣言したようだ。PACは電力やインフラの緩慢振りをよそに、都市計画省の上下水道工事は着実に進んでいるらしい。
経済活性化計画(PAC)が発表された二〇〇六年、八〇年代に倣いGDP(国内総生産)の一%を投入すると関係者は考えていた。しかし、裏金疑惑で引き起こした政治空白時代がPACの進展を妨げた後、前財務相の失脚で緊縮の縄が緩んでしまい、政府浪費が定着。PACは忘れられた。
財政黒字を重視するPT(労働者党)政権は、PAC予算を〇・八三%に留めた。経過報告書を一覧して、PACは政府浪費に席を奪われ、重税が経済成長の重荷になっている感がある。現在は経済的余裕があるのに、PACは政治的材料に使われ経済的効果は少ないようだ。