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デジタルカメラで伝える=戦前移民の生活=英国在住、新垣さんの試み

ニッケイ新聞 2008年1月24日付け

 【沖縄タイムス】イギリス在住の新垣興一さん(26)=沖縄市出身=が、「祖母の移民経験を伝えたい」とペルー生まれの祖母・久高静子さん(82)=浦添市=の移民生活や沖縄に帰国後の様子などを聞き取りし、デジタルカメラで撮影、インターネットの動画サイト「ユーチューブ」に投稿した。新垣さんは「戦前生まれの人たちの歴史や暮らしを若者に伝える新しい手段。沖縄でも広がってほしい」と願っている。
 「ペルーでどんな生活をしていたの」「いつ日本に帰国したの」。久高さんは、ペルーの小学校で初めて日本語を習ったことや結婚時のエピソードなどを懐かしそうに語った。
 撮影のきっかけは、イギリスのテレビ番組だった。高齢の男性が若者に自らの人生や歴史などを知ってほしいと、ユーチューブに画像を配信したニュースを見て、ペルー生まれの祖母のことが思い浮かんだ。
 これまで、久高さんの生い立ちについてはほとんど知らなかった新垣さん。「移民の歴史や戦後の沖縄の風景や暮らしを生の声で後世に残したい」と、正月休みの帰省でインタビューをスタートさせた。久高さんは「子や孫たちは忙しく、なかなか昔の話をできなかった。とてもいい機会」。孫の質問に、戦前の写真やパスポートを並べ、懐かしそうに語り始めた。
 リマ生まれの久高さんは、現地で夫の故秀市さんとレストランを経営し、生計を立てていた。県出身者が模合で互いの生活を助け合ったこと、親せきが米国へ強制移住させられたことについても語った。
 新垣さんは「日系人がアメリカへ強制連行されたことなど教科書に載っていない歴史を身近な人から学べる」。映画に比べ、動画はデータをパソコンにつなげば、映像を簡単に掲載できる手軽さも利点に挙げる。
 戦前生まれが少なくなる中、「離れて暮らしていても、インターネットで祖母に会える。何十年か後に貴重な資料になれば」とほほ笑んだ。