ニッケイ新聞 2008年1月25日付け
サンパウロやその近郊の日本企業の駐在員で構成される野球チームがサンパウロ市で活動している。その名もSMAB(スマッブ、坂井代表)。日本の人気アイドルグループと似た名前だが、「サンパウロ中年野球クラブ」の英訳の頭文字をとったもので、メンバーは働き盛りの中年男性が中心。二十代前半から六十代まで幅広い年代のメンバーが所属する。おそらくブラジルでは唯一の駐在員野球クラブだ。平均年齢四十歳。野球を通して人の和を広げることも目的にしており、現在、新規メンバーを募集している。
カキーン、ナイスヒット!――。一月二十日。サンパウロ市ボン・レチーロ球場でおこなわれたチーム内の紅白戦で、二十人ほどの中年たちが、小雨の中、泥んこになりながら白球を追いかけていた。味方を応援する大きな声も響く。
クラブの結成は〇二年。駐在員らによって毎年行われていた伝統のブラジル早慶戦で、人数不足で負けが続いていた慶応チームを応援する目的に、他大学を卒業した駐伯員の野球愛好者が集ったのがきっかけ。その際、毎年一回の早慶戦だけにメンバーが集まるのはつまらない、と話が盛りあがり、新チームができた。
登録メンバーは約六十人。子どものときに友人や親と遊んだ程度の経験者がほとんどだ。隔週の土曜日午前にボン・レチーロ球場でおこなう練習では、二十五人前後が参加する。練習はキャッチボールからノック、フリーバッティング。
毎回の紅白戦では盗塁すると必ず成功してしまうため、塁間で一芸を披露したり、後ろ向きで走るなどのユニークなルールもある。
「モットー?そりゃ明るく楽しく元気に気持ちよくだよ」と坂井代表。エラーをしても、ヒットを打てなくても責めない。好プレーにはみんなで「ナイスプレー」と大きな声がおくられる。
チームのメンバーはおおまかに青、黄、緑グループの三つに分かれている。それぞれにブルーウェーブ、イエローモンキーズ、グリーンピースの呼び名があり、チームのオリジナルティーシャツも色違いで三種類。
楽しみは練習後のシュラスコ。家族や恋人も集まり賑やかだ。飲みもの片手に家族、仕事、野球談義に花を咲かせる。
チームの主な練習場はボン・レチーロ球場だが、まもなく改修工事が始まるため、近郊のバルジェン・グランデ・パウリスタ市を拠点にするという。二ヵ月に一回ほどのペースで日系人チームなどとの対外試合もする。
「チームに入りやすくアットホームな雰囲気がスマッブのいいところ。仕事があってたまに練習に来る人にもあたたかく、みんなで野球を楽しみましょう」とメンバー一同。現在、新しい仲間を募集中で、希望者や問い合わせは石岡さん(三和学院サンパウロ校、電話11・3885・8594)まで。