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服役囚の70%が逆戻り=生活環境にそぐわず=失業で生活の糧失う=失業するケースも

ニッケイ新聞 2008年1月29日付け

 サンパウロ州内の刑務所から昨年、一カ月に六七〇〇人の服役囚が釈放されて出所している。男性の九四%、女性の六%で、七分おきに一人が出所している勘定となる。せっかく出所したにもかかわらず、世間になじまず、再犯を犯して刑務所に舞い戻るケースが多く、全国では平均七〇%が再拘束され、サンパウロ州では二〇〇二年の調査では五八%が再犯で逮捕されるという数字が明らかとなった。つまり、一カ月六七〇〇人が出所した中で三二八六人が刑務所に逆戻りした。
 二十八日付けエスタード紙によれば、出所しながら刑務所に逆戻りする原因は、シャバの生活環境にある。釈放で出所するということは、無罪放免なわけで、完全に自由な身となる。そこでそれまで保護的な要素で雇用されていた労働契約が切れてしまうことになる。釈放される前のセミ・アベルト(条件は仮釈放)の囚人に対しては、法律上、半ば強制的に雇用が義務づけられていたが、完全に自由な身になったことで、この義務雇用の効力が失われた形になったわけで、囚人らは生活の糧を失うことになる。
 最近の例として最も深刻だったのは、二十三日付本紙で報じた元囚人の例で、一週間前にピストルで心臓を撃ち抜いて自殺した。釈放されてから無職状態が続き、「刑務所に戻るなら死んだ方がまし」として自殺した。