ニッケイ新聞 2008年1月30日付け
神楽の本場、島根県益田市の石見神楽神和会(三原董充会長)のメンバー三人から指導を受けたブラジル神楽保存会(道管武保会長、二十五人)は二十七日午後、パライゾ区にある「サンパウロ市文化センター」で公演を行った。会場を埋めた約三百五十人がたっぷり二時間、日本古来の伝統の舞を楽しんだ。
今回披露したのは、一週間の練習でレパートリーに加えた石見神楽の「黒塚」、三原会長が年季の入った一人舞いで『ブラジル万歳』などと書いた掛け軸を使い、観客を沸かせた「恵比寿」、三匹の大蛇がステージ上を埋めた「八岐の大蛇」の三演目。観客らは、神楽衣装の華やかさと独特の動きに見入っていた。
今月十七日に着伯、三十一日までの滞在中、日系福祉施設での慰労公演も行なう三原さんは公演後、「短期間の練習であれだけこなすとは。大変満足している」と汗を拭きながら本番の出来に笑顔を見せた。
海外公演としては今回十一回目。「非常に反応が良く、観客に乗せられた格好」とブラジル公演の感想も話した。
文化庁の派遣でサンパウロに滞在中のアーティスト小川泰生さんは、「本場の神楽をブラジルで見ることが出来るなんて」と嬉しそう。神楽の衣装にも関心を持った様子だった。
観客の一人、ジャニーネ・ベルグマンさんは、「(八岐の大蛇)の蛇がとても良かった」とコメント、「今まで見た日本文化とは違ったもの。衣装も綺麗で素晴らしかった」と話した。
保存会の古田川英雄さんは、「みんな夜遅くまで頑張った」と目を細め、「六月にある百周年記念文化祭で練習の成果を披露したい」と意気込んだ。