ニッケイ新聞 2008年2月12日付け
アマゾン熱帯雨林に属する農場内の森林を不法伐採した地主に対し、政府が特赦を検討していることを十日付けエスタード紙が報道し、野党と環境団体関係者は十日、政府当局が地主らの圧力に屈したと糾弾した。野党は関係閣僚五人を召喚し説明を求め、シウヴァ環境相の辞任を要求する意向のようだ。
環境省と農務省では恩赦のために、所有地の森林の五〇%までの伐採を容認しようとしている。不法伐採を合法化し農業融資を受けるためには、残りの五〇%で森林を復元する必要がある。復元は、成木なのか苗木なのか規定がない。特赦の対象となる不法伐採面積は、二十二万平方キロメートルでパラナ州とセルジッペ州を合わせた広さだ。
既に伐採した地域の環境破壊は既成事実であり、何を以って罰するかの法整備は曖昧であるというのが環境省の考え方のようだ。 シウヴァ環境相には、本人の尊厳を守るため辞任が好ましいという意見がある。熱帯雨林の保存と不法伐採には、複雑な問題がからんでいる。先の国連環境会議でルーラ大統領は、熱帯雨林保存でブラジルはそれなりの犠牲を払っているから、先進国は代価を払えといって拒絶された。
熱帯雨林の保存努力が国際環境団体によって具体的に評価されないなら、不法伐採を咎める理由がどこにあるのかという矛盾がある。不法伐採は国内問題であって、欠陥だらけの国際環境条約とは別の話だと政府は考えているらしい。しかし、国際的圧力はかかる。