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宮城県敬老金打ち切りか=今年限り、財政悪化など理由に

ニッケイ新聞 2008年2月12日付け

 四十七都道府県の中で唯一続けられている宮城県出身者への敬老祝い金が、今年限りで打ち切りとなる可能性が高まっている。地元紙「河北新報」が九日、宮城県が敬老金打ち切りの方針を決めたと報じた。
 河北新報によれば、県は廃止の理由として、県財政の悪化のほか、県民を対象にした敬老金制度がすでにないこと、他県でも敬老金制度を廃止していることを挙げている。県人会への助成金や研修員制度などは継続の意向を見せている。
 宮城県による海外在住県人(七十歳以上)への敬老金支給制度は、他県に先駆けてはじまり、昨年で三十五回を数える。金額は当初の二万円から一万円に、昨年には一人五千円に減額された。
 県人会の中沢宏一会長によれば、敬老金打ち切りの可能性については昨年の敬老会の時点で県側から伝えられていたという。県側の方針に対し、「どこの県でも財政削減を行なっているが、少し(の敬老金を)もらうだけでもありがたいこと。最後まで(継続に向けて)ねばりたい」と語り、定期総会後の新役員で改めて継続要望の文書を送る考えを示した。
 さらに「ビジネスはじめ色々な面で県とブラジルを結ぶ役割も果たせると思う」として、双方向の交流を通じて継続の可能性を模索していく意向を表した。
 今年五十五周年を迎える宮城県人会。三十回目の七夕祭りにあわせて七月に予定されている記念式典に向け、知事、議長や市町村代表、県内のブラジル関係団体など多くの関係者に招待状を渡しているという。
 母県と移住者を結ぶ一つの絆ともいえる宮城の敬老金制度。高齢化に伴ない一世人口が減少しているとはいえ、昨年もブラジル国内で三百八十五人が支給を受けている。