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GMが日の目を見る=遺伝子組み替えは潮流か

ニッケイ新聞 2008年2月14日付け

 国家バイオ安全保障委員会(CNB)は十二日、遺伝子組み替え(GM)トウモロコシ二種の生産販売を解禁と十三日付けエスタード紙が報じた。二種は、バイエル社製とモンサント社製である。
 同種の生産販売は二〇〇七年、CTNBio(バイオ安全技術委員会)によって許可されていた。しかし、同許可に対し、環境保護院(Ibama)と国家衛生庁(Anvisa)などが異議を申し立てた。関係閣僚十一人で構成されるCNBは表決の結果、解禁賛成七票対反対四票で同許可を承認した。
 この最終決定によりGMトウモロコシが、晴れて市場に出回ることになる。ほかに綿や大豆は、承認済みで大々的に市販されている。十二日のCNB決定によりバイエルとモンサント両社は、植付け前に種子の出荷を急いでいる。
 CTNBioはこれまで関係官庁から頭突きを受けていたが、今回のCTB決定でお墨付きを貰ったといえそうだ。CTB決定は、環境への配慮ばかりでなく人体への配慮でも認められたことになる。これかも数々のGM種子が、販売を許可されそうだ。
 生産者にとって収穫量と生産コストで有利なGM農産物が、栽培できることになった。異常気象のため世界各国は、農産物の輸出抑制を検討しコモディテイ市場は強気傾向へ入っている。そのため大局的に見るなら、食糧問題は背に腹は代えられぬGM時代の到来となりそうだ。
 IbamaやAnvisaが、これで矛を収めたわけではない。テンポロン保健相を初めGM解禁反対派は、健康への影響で検討を始めた。GMの人体への有害性やアレルギー性などを訴えるらしい。CNB委員の閣僚は、政治的配慮を優先し技術的配慮を欠いたという抗議である。
 またペトロブラスが、バイオディーゼル精製のためGM大豆やGMトウモロコシの買い付けを発表したことで、GMが農産物の最低価格を構築することになる。このような背景で、GM栽培に拍車がかかるのは明白だ。GM論争は、ブラジルの経済発展もあり簡単に片付きそうもない。