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ステファネス農相=輸出肉の玉石混交を漏言=頭別管理が生きず=杜撰出荷と盲目判の品質証明=粗雑な民族性と見解の相違

ニッケイ新聞 2008年2月15日付け

 EU向け牛肉輸出の再開を前にステファネス農相は十三日、輸出業者が輸出専用に頭別管理を受けていない牛の肉も混入し、EU向け輸出していたことを上院農業委員会で証言したと十四日付けエスタード紙が報じた。農務省の衛生規定により輸出向け肉牛は、GPS(全測位)システムにより頭別に健康管理を行っている。しかし、EUがブラジル産牛肉の輸入条件として要求する衛生管理システムの遂行は、ブラジルでは困難であることを漏らした。
 EUは二月一日、一部の牛肉輸出業者であるがブラジル産牛肉の品質管理が杜撰であると輸入を差し止めた。それが交渉の結果、再開の目処がついたことで上院農業委員会は、農相の説明を求めた。
 「農務省は輸出向け肉牛を宇宙衛星のGPSシステムによる頭別管理を行っているが、同管理を受けていない肉牛の混入まで農務省の監督は目が届かない。これは業者自身が頭別管理システムに関心を示し、まじめに取り組むか否かの問題」と農相は述べた。
 牛肉のEU向け輸出を差し止められたため、ブラジルは一日に五百万レアルの損害を受けている。EUの要求を受け入れてGPS頭別管理を始めたのは、牛肉輸出協会の現会長で元農相のプラチーニ・デ・モラエス氏自身である。
 農相の証言は最低限の告白だが、業界から見ると自殺行為だという。牧畜協会の会長を兼ねるアブレウ上議(DEM=民主党)は、輸出牛肉の品質保証書に署名したのは現農相自身だとし、委員会での証言は農相の命取りになりかねない失策と見ている。
 歴代の農相は、牛の頭別管理を委託された下請け企業発行の品質証明が、デタラメであったのに誰も咎めなかった。現農相になって、下請け企業七十一社のうち二十社を杜撰管理の理由で解約した。しかし、牛肉混入の責任は全部、現農相にかかりそうだ。
 農務省畜産局のクロエッツ長官は十四日、ブリュッセルでブラジル産牛肉の輸出再開で詰めに入った。EUが模範牧場として三百カ所を想定していたのに、農務省は二千六百八十一カ所の指定を要求した。見解の差が大きいとEUは牛肉輸入を中止し、農務省はリストを六百カ所に縮少。輸出が再開してから、模範指定を増やす考えらしい。