ニッケイ新聞 2008年2月15日付け
中国から日本に輸入された冷凍食品の中身や包装袋から農薬や殺虫剤が検出されて「食の安全」が改めて注目されている。日本からの新聞やテレビの報道の過熱ぶりをみて「ブラジルは大丈夫なのか」と、すぐに身近なところに思いを移した人も多かっただろう▼日常、家族の食事をつくっている主婦らは「ブラジルは大丈夫だ」とけっして思っていない。フェイラやスーパーで購入した野菜から(残留した)農薬の臭いらしいのを感じ取った経験者は少なくないはずだ。「へんだ」と感じたとき、その主婦はどうしたか。たいてい、捨てたと思われる。中毒症状のような体の異変が具体的に起こらない限り、事件にはならず、捨てた、で終ってしまう▼最近、ベテランの日本人農業技師(サンパウロ在住)に、ブラジル当局は、農薬管理・規制をやっているのか、と初歩的なことをきいてみた。現行の決まりでは、農薬販売店が農家に農薬を販売する際、店所属の農業技師がレセイタ(使用処方箋)を添える。義務であり、それがなくては売買ができないそうだ。だれでも望むほど買えるわけではない。だから、もし野菜に有害なほど農薬が残留していたとすれば、それは使用した農家の過失となる▼かりに中毒した人が、その因果関係に野菜があると判断した場合「訴える」ところは、カーザ・ダ・サウーデだという▼以上は生鮮野菜についての話だ。忙しい家庭の台所の〃主役的な〃冷凍食品に、中国産のようなものはないとは思うが。(神)