ニッケイ新聞 2008年2月19日付け
大油田の機密データを記録したディスク盗難事件で連邦警察は十七日、ペトロブラス(PB)の元技師や試掘現場の現技師、データ提供のハリバートン社職員、ラップトップを陸送した運転手を事情聴取で召喚決定と十八日付けエスタード紙が報じた。最近四カ月にペトロブラスの技師四十人が引き抜かれたのは、ライバル社の戦略的意図のもとによると連警は見ている。ルーラ大統領は、盗難が単なるPBの問題ではなく、国家的見地から分析すべきことであると述べた。
ペトロブラスはツッピーとジュピター両鉱床の総合的データを保管しているが、世界ではハリバートンの他二社が同種サービスに従事しているだけだ。盗難の目的は何かが、これからの注目といえそうだ。
他社へ引き抜かれた技師四十人は、ディスクの輸送経路と警戒態勢の方法も熟知していた。PBは緘口令を敷き、捜査の成り行きを見守ることにした。一方、十八日付けフォーリャ紙は、ディスク盗難事件を素人の単なる物盗り事件として連警が平行捜査しているとも報じた。
連警はコンテナーの中を調べた結果、指紋検査からラップトップやディスクの中味を知らない者の犯行と見た。犯罪のプロであれば、ペン・ドライブを狙う。荒らした箇所が、重要機密と関係ない場所にも触れていることで、スパイ説に疑問を呈した。
コンテナーは、ハリバートン社がガス田の発見に伴いジュピター鉱床のデータ分析のため移動事務所として使用していた。ハリバートン社はPBとの間に昨年、試掘サービスと機密データの共同保管で二億七千万ドルの契約を結んだが、エックスプロ社とも同様の契約を結んでいた。
「盗難の背景は不明だが、国家機密の紛失であることに変わりはない。PBがすでにツッピーとジュピター鉱床の確認済みデータを保管しており、誰が同データを欲しがっているのかはPBの問題ではない」と大統領はいう。
国家的見地から事件の真相を知りたいだけ。世界に鉱床探査データを分析サービスする会社は、三社だけ。PBは海底油田や超深海の油田開発では、先発である。相次ぐ大油田やガス田の発見で、ボリビア・ガスのアルゼンチンとの奪い合いから解放されそうだ。