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カステロ道を4キロ逆行=大型トラックと衝突、大破=卒業パーティー後の自殺行為

ニッケイ新聞 2008年2月20日付け

 誰からも好かれ、銀行での仕事も順調、法学部を卒業し、家族の誇り。そんな若者が交通量も多いサンパウロ州の高速道路カステロ・ブランコを四キロも逆行。大型トラックと衝突して、二七歳の生涯の幕を閉じた。
 事件は、テレビや伯字紙がこぞって報道したが、十七日早朝、カステロ道をサンパウロ市方面へと向かっていた車は、二一キロ地点でUターンした後、加速して中央車線を一直線に逆行。途中、慌てた対向車が車線変更をして事故を避けた様子もカメラが記録しているが、二五キロ地点で逆行車に対面した大型トラックの運転手は避けきれず、衝突。大破した車の車体にはさまれた青年は、救助隊が到着した時にはもう息絶えていた。
 青年は十六日から十七日にかけて、大学の卒業パーティーに出席。周囲の進言に耳を貸さず、自分で車を運転して帰ると言って一人で会場を離れた。週末に実家に帰っては友人と飲みに行くのが楽しみだったという運動好きな青年で、一緒にいた人々によれば、泥酔状態ではなかったという。
 しかし、豪華客船の旅や大学院進学など、将来の夢を語っていた青年がなぜこのような自殺行為に出たのか、誰もが首をかしげている。離婚した奥さんとの間に二歳になる男の子もおり、子煩悩だったという。
 パーティーでは最近付き合っていた恋人とけんかをしたともいうが、友人はそれだけで自殺行為に走るとは思えないと証言。土地勘の無いカステロ道で方向を失ったのではとの声もあるが、七〇キロ近い速度でほぼ直進していることから、専門家は識別能力は働いていたと判断。飲酒運転故の事故というより、何らかの理由で死への道をたどったと考えられる。
 なお、十九日のフォーリャ紙は十六日夜に、サンパウロ州イガラターで、州道を逆行した車の運転手が逮捕されたことも記載。
 また、同日のエスタード紙は、二〇〇一年三月の、当時二七歳の青年がサンタカタリーナ州国道を時速一四〇キロで一六キロ逆行後、対向車と衝突、対向車の運転手が死亡した事故を紹介。事故を起した本人は健在だが、死亡した運転手の息子は、今回の事故の報道を見てすぐ父親のことを思い出したという。
 今回の事故では、大型トラックの運転手は軽症ですみ、トラックも、積荷が全部散乱した以外は、前面部の破損ですんだ。
 事故発生は六時四十五分ごろ。サンパウロ市に向かうカステロ道は十二時半まで閉鎖された。また、青年の遺体は十八日に出身地であるサンパウロ州パラナタネマの墓地に埋葬された。